Novel2
□love knot
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それから2日。
静雄に会えないというだけで酷く長く感じた2日を越えて触れた彼は、更に愛しく思える。
宣言通り、静雄の家の玄関に入るや否や唇が触れて、思わず笑ってしまった。
約束は守るんだね。勝手に赤くなる頬を緩めて言えば、当たり前だろ、と静雄は笑う。
それがシズちゃんの良いとこだよ、とは言わないけれど。
「シズちゃん何食べたい?」
「作ってくれるのか?ならハンバーグがいい」
即答された言葉に、臨也は笑った。首を傾げた静雄を更に笑って、エプロンを付けながら静雄を横目で見やる。
「シズちゃんたら図々しいんだから…外食するって考えは無かったのかな」
「でも作ってくれるんだろ?」
まるでそれが当然だとでも言うような口調に相変わらずだとホッとしながら、仕方ないなと口先だけ言って必要な材料を出していた時だ。
ふと、臨也に背を向けてテレビを見る静雄が口を開いた。
「いいな、こういうの」
ドキリと鼓動が跳ね上がった。俺もだよ、と返すのは恥ずかしさから憚られて、何それ、と笑ってみせる。
こういうことだろ、と欠伸混じりの声が返ってきて、何だか結婚して同棲している夫婦みたいな気持ちになった。
そうしてそれが、羨ましくもなった。
「…そうかな」
臨也の声に、静雄は肩越しに振り返りながら首を傾げる。
無言でハンバーグの用意を続ける臨也を不審に思ったのかそれとも理解していないと踏んだのか、静雄は口を開いた。
「結婚してるみてぇだろ、なんか。男同士じゃ結婚出来ねぇけど、同棲くらいは出来るしよ。
そしたらずっと一緒に居られんだろ」
嬉しかった。けれど、それと同時、胸がチクリと痛くなった。
「そうだね。」そのたった一言で、この話は終われるだろうに。
それは許せない自分がいた。
普段は散々他人を思いやらない嘘を吐くくせに、静雄が相手ではちょっとした嘘もつけない。
それだけ大好きだからだ。
「――無理だよ」
「あ?」
目を見開いた静雄に対し、臨也は背を向けたまま手を止める。
無理なのだ。ずっと、なんて無い。なのに、これ以上俺を惹き付けないで。好きにさせないで。
「ずっとなんて無いよ。俺たち男同士だし、飽きるに決まってる」
「、手前、飽きるって」
「シズちゃんが俺に飽きるんだよ」
言って、笑う。けれど、和やかになれるはずがなく、ただ鼓動だけが沈黙に煩く響いた。
と、背後の静雄が立ち上がり、此方に歩んでくると臨也の数歩前で立ち止まった。
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