Novel2

□小さな恋
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「悪い、遅くなった」

不意に聞こえた声に、臨也は顔を明るくした。
振り返れば、愛しい恋人の姿。

「ドタチン!!」

すぐに立ち上がり、門田に走り寄ると抱きついた。門田の腕は臨也を優しく抱き止める。
その胸に縋るように丸くなっていれば、頭上の門田が口を開いた。

「また静雄に何か言ったのか」

何か言ったかって、発端は俺じゃない。確かに気に障ることは言ったが、悪化させたのは新羅と静雄だ。

「別にぃ」

他人から見れば皆あまり変わらないものをあくまで責任転嫁をはかる臨也に、門田は苦笑を滲ませる。
…と。

「…手前のなんだから、手前が臨也をちゃんと躾けろよ」

静雄の言葉が聞こえた。
けれど臨也は振り返らず、愛しい彼を見上げることもしないまま胸に額を擦り寄せる。

「ん?…ああ、ごめん」

門田は照れを滲ませながら、臨也の頭を優しく撫でた。

俺はドタチンと付き合っている。
それももう一年近く前、高校に入学して半年が経った頃からだ。
今は当たり前のようにこの腕を求められる。甘えて擦り寄って抱きついてキスをして、笑い合える。
――けれど、こんな風になれるまでが短かったわけじゃない。

「どうした?臨也」

箸が止まっていた臨也を気にして、門田が声をかけてくれる。
眠いなって思ってただけ。そう言って笑った臨也の額を、門田は優しく撫でた。
俺はドタチンと付き合っている。
それももう一年近く前、高校に入学して半年が経った頃からだ。
今は当たり前のようにこの腕を求められる。甘えて擦り寄って抱きついてキスをして、笑い合える。
――けれど、こんな風になれるまでが短かったわけじゃない。

「どうした?臨也」

箸が止まっていた臨也を気にして、門田が声をかけてくれる。
眠いなって思ってただけ。そう言って笑った臨也の額を、門田は優しく撫でた。



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