Novel2

□※風邪ひきと寂しがり
3ページ/6ページ


「はぁ、や…っ、あ、つい…」

「手前が熱いんだろ」

静雄はそう低く楽しげに言うと、臨也の奥、一番弱い場所を挿し込んだ二本の指で無造作に押した。ぞくり、と下腹を中心に全身に広がった疼きに背を反らせば、静雄は口元を艶かしい笑みに染めて臨也の耳に唇を落とす。
風邪を引いているせいか、身体がひどく熱い。まるで静雄から与えられる刺激を全て熱に変えているかのように。

「ひぅっ、ゃ…もう、だ、めっ、出ちゃう…っ」

「出せよ、イキ顔見ててやる」

頬を撫でた掌。俯けようとした顔は無理矢理静雄に向き合わされ、羞恥に潤む瞳から涙が零れた。
見ててやる、なんて、何馬鹿なことを言ってるんだ。風邪引いてるくせに、とセックスを躊躇ったのは誰だ。
けれど、そんな言葉が出るはずもなく。
内壁を擦る指が気持ちいい場所を突き、電気が走ったみたく頭が真っ白になって。

「ひ、ぁああっ」

ビクビクと身体が震えて、溜まった熱が吐き出された。
後に襲い来る疲労感に荒い息をしながらベッドに沈み込めば、静雄の唇が涙で濡れた瞼に口付ける。
甘いんだか、酷いんだか、よく分からない。ただ、身体中に落とされる唇が優しいのは事実で。
とりあえず、休みたい。先をするにしろ、息をつく時間くらいくれるだろう。
…そう思っていたのだけれど。

下肢に触れた熱に、臨也はびくりと震えた。

「え、ちょっと待っ…」

「待てるかよ…ッ」

低い声が臨也の耳に届くと同時。
溶かされるような熱が、臨也に入り込んだ。

「ひっ、ぁあ…っく……」

「キツい、力抜け」

「うるさ、ぃ…馬鹿っ、あぁッ」

押し広げる圧迫感がじわじわと臨也を侵食していく。散々慣らされたそこは痛みこそさほど伴わないものの、悦楽を吐き出してすぐの身体には言葉にならない疼きを与える。

「ま、だ、イったばっかり、なのに…っはあ、挿れるな、…ン、ゃあ…」

「誘ったのは手前だろ…」

上擦った余裕の無い囁き。それに胸を高鳴らせる隙もなく、静雄の昂りが奥まで割り入ってくる。
その上息をつく暇さえ与えられないまま静雄が腰を引き、臨也は息を飲んだ。

「ひっ、ぅあ…、あ!ん、っはあ!」

途端に始まった律動に、堪えられない声が零れる。既にゾクゾクと身体を震わせる快楽は臨也を苛んでいると言うのに、濡れた音が酷くなるのに合わせて更に熱が増していく。
身体はひどく熱い。けれど、繋がった場所がそれ以上に煮えるような熱を帯びている。今なら溶け合えるのでは、と思えるほどに。
異物感が消えれば後は甘い淫楽だけが残る。生理的なものか、風邪を引いているのに相まって涙が止まらない。自ずと漏れる甘ったるい女のような嬌声が耳に遠い。
やめてほしいのに、やめないでほしい。

.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ