Novel2

□※恨みの末には、
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「意味が分からないんだけど。何?仕事よりもシズちゃんが大事だよ、とでも言って欲しいの?」

「手前は仕事相手の方が大事なんだろ」

「なんでシズちゃんと仕事相手を比べないといけないんだよ。別物だろ」

一昔前のアイドルじゃあるまい、恋愛か仕事か、どちらかを選ばなきゃならない理由が何処にあると言うのだ。
――けれど、静雄は唐突に口元の笑顔すら消した。冴えた空気が鋭さを増して臨也を包み込む。手首の手錠が嫌に冷たい。

「なら、俺を選べよ」

「は?だから…」

再び反論しようとした唇は、静雄の唇に捕らえられた。
噛みつくようなキス。愛情に溢れていた。嫌、愛情に汚れていたと言うのが正しいようなキス。

「ふ…ぅう、はっ、痛、んン…」

舌に歯を立てられ痛い。容赦なく吸われて舌はジリジリと痛むのに、静雄の唇だというだけで下腹がずくずくと疼いてくる。
自分のみっともない身体は恨めしいが、腕が動かず抵抗もできない。
そのうちに静雄の手が臨也のズボンを下着ごと剥ぎ、その下の昂りすら通り越してまだ閉じたままの蕾に指を挿し入れた。
濡れてもいないそこを無理矢理広げられれば痛いに決まっているというのに、昨日の名残が思い出され、その痛みすらも快感に変換されていく。女でもないのに濡れた音がそこから漏れだした。

「し、ずちゃ…っ、ゃ、なん、で…っ」

ぬちぬちと耳の塞ぎたい音に身を犯されながら、普段とは違う空気に臨也は必死に声を荒げる。
けれど、聞き入れてもらえるはずもなくて。
…ただ、静雄は言った。寂しげな声で、寂しげな顔で。

「手前には、俺がいればいいだろ…?
仕事相手なんかいなくても、俺がいればいいって言えよ…」

何となく、理解した。
けれど、受け入れられない言葉だと思った。誤解だと訴えたかったけれど、静雄の熱が臨也を壊すように揺さぶって、全て掻き消えた。


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