Novel2

□※罪人は愛を乞い、断罪人は愛を殺す。
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熱に浮く意識は淡く、今の状況が現実なのか非現実なのか、それすらも曖昧にしていく。
ただ身体に響く疼きは、頭を、身体を、余すところなく甘い官能に堕とすのだ。

「あ、っふぁ…しずちゃ…っあ、いく、だめ…っ」

「っく…!」

「っ!あ、ひぁ…っ」

熱い感覚が流れ込む。その熱が痺れに変わって臨也の背を走って。

「や、んァ――っ!」

欲望を、吐き出した。


静雄とこんな関係になったのはいつからだったか。
そう思いを馳せれば、もう数年前に遡らなければならない。
高校教師との援交が静雄にばれた。口封じにと身体を重ねた。そのまま、その歪な関係が続いている。
…けれど、ばれて構わなかった。静雄とこうして交わることが、嫌では無かった。
静雄が好きだから。あの頃から、ずっと。
…けれど。
それは俺の、片想いにすぎない。


「――おい、臨也」

不意に意識に染み込んだ声に、臨也ははっとした。
果てたと同時に、意識を飛ばしてしまっていたらしい。まだ頭はくらくらする。
目の前の静雄とは繋がったまま。熱に浮かされて虚ろな目をする臨也に、静雄は汗を拭いながら言った。

「まだ終わらねぇに決まってるだろ」



そう、きっと間違いない。
性欲を満たすためだけに呼ばれて、こんなにも乱暴に犯されて。
これが彼の愛だというのか。そんなはずがない。
本当は誰よりも暴力が嫌いで、喧嘩が嫌いで、優しいシズちゃん。
そんな奴の愛がこんな表現なはずがないじゃないか。
『嫌いだけれど、女を傷つけるくらいなら、こいつを抱いた方がましだ。』
彼にとって、きっと俺はそんな存在。

――ねぇシズちゃん。
嫌いなら、早く殺してよ。
どうせ、どんなに喧嘩したって、君の下で喘いだって、シズちゃんに愛されることはない。
だったら、そんな俺はいらない。
こんな身体だけの関係を強いられたままだなんて、辛いだけじゃないか。
だから、殺して。
シズちゃんの世界から、俺を消し去ってよ。



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