Novel2
□君が欲しいもの
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「?、シズちゃ――」
小首を傾げた臨也の唇を奪った。
顎を掴んで、口を開けさせ舌を割り込ませれば、臨也はぴくりと震えて静雄のシャツにしがみつく。
こんなキスなど、静雄はしたことがない。けれど、そこまで頭が回るほどの余裕もなく。
舌を絡めとり、呼吸をしようと開けられた唇へ更に強く唇を重ね合わせる。時々唇越しに歯がぶつかる。
貪るように舌を掬い吸い上げて軽く歯を立てれば、鼻にかかった甘い呻きが臨也の喉元から響いた。
「ん…ふ、……いっ、…」
徐々に甘さを増す臨也の喘ぎに、腹の底が熱くなる。唾液の絡む音は耳を犯すかのようで。
呼吸すら忘れるように求めて、理性が剥がれてるのも厭わない程に舌を絡めて。
ようやく唇が離れた頃には、互いに息を荒げていた。
「シズちゃん、乱暴、すぎだよ…っ」
赤らんだ顔で言った臨也。それでも、思い通りになったと言わんばかりに笑みを浮かべると、静雄の指に自らの指を絡ませた。
「じゃあ、行こうか。シズちゃんの家にでも」
当たり前のように言った臨也は、静雄の手を取ったまま歩き出した。
――そうして、今。
「あっ、んん!ひ、あ!しずちゃ…っ」
甘い声は静雄を呼ぶ。
助けてと言わんばかりに、もっとと言わんばかりに、愛してると言わんばかりに。
けれどきっと、そんなのは俺の勝手な妄想。俺がどんなに想っても、臨也にとっては性欲を満たす相手でしかない。
分かってる。分かってるけれど。
臨也の視界を掌で隠す。喘ぐ臨也を見つめて、唇だけで愛していると囁いた。
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