Novel2

□※Disease
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「ふざけないでよ」

「ならパンツ穿かずに一日過ごせ」

「、何でいちいち羞恥を煽るような命令しかしないの!?」

冗談も大概にして欲しいが、静雄の表情は台詞に関わらず真剣で、臨也は複雑な心境のまま押し黙った。
どちらの羞恥を選ぶか。まさかこんな馬鹿らしい選択を迫られる日が来るとは思いもしなかった。
オナニーは一瞬。しかし脱衣は一日だ。いくらズボンを履いているからと、安心できる問題でもない。
それなら、一瞬を選んだ方がきっとましだ。静雄の目にしか触れないわけだし。…その一瞬が、大きいけれど…。

「じゃ、あ…今から、する、から…っ」

「ん、じゃあ下脱げよ」

最悪だ、と思いつつも、臨也は思い切ってズボンを下ろした。楽しそうな、でも何処か淫欲を孕んだ瞳に、下腹にずくんと痺れが走る。
自ら晒すのが恥ずかしく、臨也は下着に恐る恐る手を入れながら、意地を張って静雄を睨んだ。

「俺、オナニーはあんまり感じないんだよね」

「じゃあしろよ」

ことごとくむかつく奴だ。半泣きしそうな心情のまま、臨也はまだ萎えている自身に触れた。
普段は本当に、ろくに感じもしない。…けれど、この状況下ではそうもいかないのかもしれない。
指先が触れただけでじわりと甘い感覚が滲んで、臨也は息を詰めた。そのまま、そっと昂りを上下に擦れば、僅かに下肢が戦慄く。

「ん……っ、ふ…」

力を入れるのが怖い。自らの手で果てる姿を見られるなど、恥ずかしいにも程があるのではないだろうか。
…と、臨也の手の緩慢さに気がついた静雄は、勝手に臨也の下着を下ろした。
一気に外気と静雄の視線に晒され、臨也は思わず手を引っ込める。勃ち始めたそれは、ふるりと震えた。

「力抜くなよ、ちゃんと扱け」

「っ、煩い!」

臨也は更に高まった羞恥に負けそうになりながらも、再び熱を宿しはじめたそれに触れる。仕方なしに力を入れて擦れば、腰が震えて吐息が零れた。

「…っ、んぅ…ふ、んン…っくぅ…」

声だけは出すまい。そう下唇を噛み締めていれば、静雄の鼻で笑う声が聞こえた。
馬鹿にするつもりか、と睨むように見上げるも、既に潤んでいる瞳に威嚇の要素など全く無い。

「必死で声噛むとか、感じてるの隠してるつもりなんだろうが、それはそれでエロいな」

「…っ!」

顔が沸騰しそうに熱い。自分が耳まで真っ赤なのが想像できる。
…何より、静雄の視線が嫌だ。見られている、という感覚が羞恥と淫らな感情をつれてきて、余計に身体は敏感に震えた。
臨也は効果もないであろうと知りながら瞼をきつく閉ざすと、再び昂りを弄る。しかし視覚を閉ざしたせいか聴覚と触覚が敏感になり、水音と静雄の吐息に胸を焼かれるような気がした。
しかし再び瞼を開くのも憚られ、臨也は小さく俯いて唇を必死に噛む。下手に反抗するよりも、素直に受け入れよう。…諦めも肝心だ。

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