Novel2

□有毒ドロップ
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震えた腕は、臨也を抱き締め返していた。
愛されたい。愛したい。
そんな単純な感情のために、俺はこの細くも脆くない身体を強く抱き締める。

「痛いよ、シズちゃん」

そう困ったように笑いながら呟いた臨也へ、唇を重ねた。
重ねては離して、角度を変えては重ねて、まるで唇の形を覚えるかのように。
呼吸をしようと唇を開いた臨也の口腔へ舌を割り込ませ、上顎、歯列を丹念に舐め、舌を絡める。
くちゅ、と艶かしい音が唇の隙間から響いた。

「…ふぅ、あ……ぁふ、んゥ…」

濡れた小さな舌を余すところなく舐め、おずおずと差し出されたその舌を吸い上げて自身の口腔に引き込み甘噛みをすれば、臨也はぶるりと震えた。
唾液から吐息、温度すら混ざって、溶け合って。
頭が毒に犯されていく。

唇を離して再びきつく抱き締めて、呼吸を荒くする臨也へ囁いた。


「愛してる」


愛してる。愛してる。愛してる。
俺には、臨也しかいないのだ。
例え毒だと分かっていても、抜け出せなくなると分かっていても、その甘さに溺れていたいと思ってしまったのだ。

臨也は、荒い息のまま小さく笑った。
顔は見えなかったけれど、きっと俺を馬鹿にしたように笑っているのだと思う。

「俺も、シズちゃん愛してる」

優しい言葉は、残酷だった。



舐めれば舐めるほど侵食されていく。
堕落していく。犯されていく。
でも、口に入れたが最期、逃げられない。

まるで、甘い甘い毒のように。





END


…?
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