Novel2
□※「ねぇ、いかないで。」
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最近、シズちゃんが素っ気なくなった。
その原因は、嫌でも分かる。
シズちゃん が
俺 を好きじゃ なくなった 。
付き合い始めて、1年が経とうとしている。
――あの頃は、何もかもが楽しかった。
好きになった。
付き合い始めた。
キスをした。
セックスをした。
時には喧嘩もしたけれど、そこには笑顔があった。
――なのに、今となってはどうなのだろう。
キスはする。
セックスもする。
そこに笑顔はあるのだろうか。
元から口数は少なかった。
それが更に減っていく。
言葉が減る度に、焦る。焦る。
好きになる前は、気にかけすらしなかったのに。
いやだ。
シズちゃんじゃなきゃ、やだ。
「シズちゃん、セックスしよ」
心が泣き声をあげだすまえに、俺はいつもそう言うのだ。
まるで、彼を繋ぐための呪文のように。
皮肉だと思った。
互いの気持ちが重なっていた頃は愛を確かめ合うための行為だったはずなのに、
今となっては、彼を繋ぎ止めるための行為でしかない。
こんなことをしても、虚しさしか募らないと解っているのに。
なのに今日も、俺は泣きそうになりながらシズちゃんと身体を重ねる。
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