Novel2

□※赤ずきんの恋人
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放課後、臨也は隣の棟の科学準備室へ、顔をしかめながら歩いていた。

というのも、たまたま科学の先生に声をかけられ、明日の授業の準備を頼まれた。
拒否して帰っても良いのだが、勿論静雄と喧嘩ばかりしている臨也に、先生が良い印象を持っているわけもなく。
その科学の先生は、テストもあるが、普段の授業とは無関係な生活まで成績に含めるような奴である。
此処で不用意に断っては、ただでさえ授業態度はろくな点数を食らっていないのに、更に痛い目を見ることとなるわけだ。

「ま、ドタチンもいるし、いっか…」

たまたま一緒にいた門田も一緒に頼まれたため、面倒臭いが然程苦ではない。
他の用事があり遅れたが、もう門田が用意の一部は完了させていてくれているだろう。

そう考えながら準備室に着き、扉を開けそこに居るはずの門田を探し――思わず目を丸くした。
当然、其処には、優しい門田とは正反対の、静雄がいたのだから。

「遅ぇな、手前」

「は…?なんで、シズちゃんなの?」

静雄も一応用意はしてくれているようで、予想していた通りの分は完了していた。
目を瞬かせながら準備室に入った臨也は、静雄の用意を手伝いながら眉をしかめる。

「何でドタチンじゃないの」

不機嫌を滲ませた声に、静雄も眉間に皺を寄せる。

「門田が忙しいから代わりに来たんだよ」

「…ふぅん……さいあく」

そういえば、最近突然バイトが入って一緒に帰れないことが多い。
不満をまざまざとさせて溜め息を吐けば、静雄は低く唸る。

「付き合ってる奴に言う台詞か、それが」

臨也はその言葉に、うん、と素直に頷いて見せた。

付き合って数ヵ月。喧嘩もするし、罵り合いもする。
でも確かに、これでも付き合っているのだ。
素直に好きだと認めるのは、恥ずかしいけれど。

あまりにも素直に頷いた臨也を、静雄は気に入らないと言いたげに睨み付ける。
勿論、慣れたもので恐怖など欠片も感じないのだけれど。
そんな静雄へ、臨也はニヤリと笑みを向ける。

「なに、ドタチンに焼きもち?シズちゃんの分際で?」

挑発的な態度に、静雄の額に血管が浮かぶ。
でもこの部屋の物を壊しでもしたら後が怖いのは目に見えているのか、静雄は押し黙った。
彼の暴力を逆手に取った気分になりながら笑うと、「早く終わらせて帰るよ」と静雄の胸板をノックして、作業を再開した。



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