Novel2
□※地獄の温度
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「ん…はぁっ、や…離、せ…っ」
嫌だ。何なんだ、これは。どうしてこんな事になっているんだ。どうして、犬猿の仲のシズちゃんが、俺を喘がせているんだ。
こんなの、ちがう。
「俺、の、弱味で…も、握りたい、の?」
「――そうだな」
どこか無関心な声で言った静雄は、胸を弄りながら開いた手で臨也の脇腹を優しく愛撫する。
それだけで身体は敏感にぶるぶると震えて、羞恥を煽った。
逃げたい。けれど、逃げられる状態じゃない。
不意に、腰辺りが緩んだ違和感に嫌な予感がして目を向ければ、ベルトが外されていた。
驚きに口を開くも、静雄の手はズボンに伸び、そのまま力任せにジッパーを壊して下着ごと膝まで引き下ろされてしまう。
急速に恐怖が膨らんで、臨也は必死に身を捩る。
しかし静雄は両の胸を弄ったまま、空いた手でまだ萎えている臨也の中心を握ると、躊躇い無く扱き出した。
「や、ん!あ、やだ、シズ、ちゃ…っ」
容赦ない上下運動に、目の前が点滅する。声を抑えたいのに、唇を結ぶことすら叶わない。
苛むような快楽は、瞬く間に臨也を追い詰めていき、静雄の手から淫らな音が漏れ出した。
その音に耳を塞ぎたくなるものの、どうにか掴んだ静雄の肩から手が離せない。
あっという間に、臨也は絶頂へ達した。
「溜まってたのか?まだ出てるぞ」
「……るさ…」
ぐったりとした臨也は、未だ射精の続く感覚にビクビクと身体を震わせる。
ようやくそれも終わり、息を切らして静雄を睨むが、赤い顔な上、生理的な涙で濡れている瞳では、静雄を煽る材料にしかならない。
再び下肢に手を伸ばしてきたのを制するように、臨也は声を上げた。
「どうしてこんなことするの!?
弱み握りたいなら、もっと別のやり方があるだろ、嫌いな奴を辱めるのなんか、吐き気がするだろ」
こんなことをするなら、喧嘩をして骨を折られる方が幾分マシだ。
――しかし、やはり解放はしてもらえないらしい。
「そんなに嫌なのか?」
「――当たり前、だろ…」
いつものシズちゃんじゃない。
俺を見ただけで殺気を放ってくる、並じゃない力の持ち主。それがこいつなはずなのに。
…なんで、そんな悲しげな顔をするんだ?
「――っひゃ!?」
ぞわり、と背が浮くような感覚に、思わず後孔を縮こまらせた。
誰にも触れられた事が無いその場所は、入り口に指先が触れただけで身体が戦慄く。
止めろ、とその肩を押すが、敏感なその場所を解すように刺激され、指先が震えて力が入らない。
「や、だ、離」
「黙れ」
空気の凍るような声に、臨也はびくりと震えた。静雄の表情に、胸がぎゅうと痛くなる。
――その顔は、酷く思いつめたように歪んでいた。
「手前は一生分からねぇよ。俺の考えてることなんか」
当たり前、その肯定の一言すら発せない空気に、臨也は瞬きすら忘れる。
「臨也の言う事は、俺には何一つ分からない。本当か嘘か、そんなの分かるはずも無い。
――だから、手前の感情なんか、俺には関係ないんだよ」
その言葉は何処か、自らに言い聞かせているようにすら聞こえた。
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