Novel2
□※Happy birthday my lover!
3ページ/6ページ
1月28日、0時。
「おめでとう、シズちゃん」
日付が変わり、臨也は満面の笑みでそう言った。
どうにかギリギリでケーキを作り終え、台所はそのままなのだけれど。
そのケーキの出来栄えに、静雄は関心の声を漏らす。
「手前、このケーキ…」
「ん、そう、作ったんだよ。
シズちゃんの家オーブン無いし、時間もきつかったからスポンジは市販だけど、その分デコレーションはいいでしょ?」
ね、とケーキをくるりと回して見せれば、もう20歳も疾うに過ぎた静雄は、キラキラと目を瞬かせた。
その様子に安心して、臨也もにこりと笑う。
「シズちゃん甘いもの好きだったし、ケーキならシズちゃんが乗り気じゃなくても大丈夫かな、って」
臨也がそう言えば、静雄は僅かに首を傾げて見せる。
「別に、乗り気じゃなく無かったけど」
「…ケーキ要らないの?」
唇を尖らせて低く言えば、「要るに決まってるだろ」と笑って言われて、自ずと顔が赤くなってしまった。
それを誤魔化すようにテーブルにケーキを置くと、臨也はキッチンへ向かう。
絞り袋に入って残っている生クリームは少なくない。
「どうする?これ、余ってるけど。明日なんか作ろうか?」
静雄は臨也の手元に目を向けて、好きにしろ、と言いかけ…
口を止め、にや、と笑った。
「プレゼント」
「は?」
「プレゼント、くれるんだろ?決めた」
嫌な予感。長年彼と絡んでいれば、嫌でも分かる。
静雄は、臨也に歩み寄ると生クリームの袋を取り、指先に少しのせると味見をするように舐めた。
その光景にどきりとしてしまったのを悟られないように、どうにか静雄を睨む。
「甘い」
「当たり前だろ、砂糖入ってるんだから」
そう反論すれば。
ちゅ、と軽い音。
それがキスだと気が付けば、顔が段々熱くなってくる。
「ちょっと、なに…」
動揺を隠しきれず静雄に問いかけるが、静雄は至って真顔で言った。
「プレゼント、手前でいい」
「…は?」
その意味を咀嚼し、顔が赤くなった。
確かに、当日のうちに用意が出来る…が、そういう問題ないだろう。
恥ずかしさに反抗しようとして口を開く。
.