Novel2

□※stubborn&spoiler
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「…臨也?」


…唐突に、声がした。
驚いて顔を上げれば、やっぱり。

「起きちゃったの…?」

「手前こそ何してるんだよ!
人を勝手に縛り付けた上になんでこんな夜中に…ッ」

顔を赤く染めた静雄に言われ、うう、と唸る。
多分、このままだと腕を解放するためにベッドの柵ごと破壊されるだろう。
それは悔しくて、
縛られた腕に力を込めようとしていた静雄の手を握りしめた。

「だめ、腕取らないで」

「…ああ?」

眉をしかめた静雄の顔に緊張しながら、悟られないように気張ると、震えそうな声で言った。

「今日は俺が攻めるの、馬鹿シズちゃん」

静雄は目を丸くする。
誘い受けか、手前。そんなことを言われて、言葉に詰まった。
強ち間違ってはいないが、言われると恥ずかしい。
静雄の声は無視して、顔を背けた。

「そういうことだから」

再び、胸に舌を這わす。
おい、と反抗するような声を上げられたものの、
数秒後、静雄は反論しなくなっていた。

…きっと、こいつにこんなこと出来るはずが無い、だとか、
どんなものか試してやろう、とでも思っているのだろう。
苛立つこと他ならないのだが、今この状況で、やっぱり止める、なんて言えるはずもなく。
…否、言う気は無いけれど。

歯を立てながら、舌で舐め溶かすと、静雄の喉から息を飲む音が微かに響いた。
静雄が感じてくれているのが嬉しくて更に愛撫を続ければ、
衣服越しに固い感触を感じて、恥ずかしくなった。

「シズちゃん、感じてるの?」

「手前が触るからだろ」

機嫌の悪そうな声で言われるも、今はその声に優越すら覚える。
俺だってシズちゃんを攻めることくらい出来るんだ、と思い、
その手で下半身にも手を伸ばした時だった。


「キスしながら脱がせろよ」


突然言われた言葉と得意気な顔に、きょとん、としてしまった。
手元が見えないくらいで脱がせないとでも思っているのか。
馬鹿にするなと思いながら、別に良いけど、と返す。
そしてズボンへ手を掛けながら、静雄へ唇を重ねた。

重ねてすぐ、唇の隙間から舌が割り込む。
反抗する気分で、顔をしかめながら仕返しに舌を絡め返した。
くちゅり、と淫猥な音が重ねた唇から漏れ、吐息混じりの唇が臨也を熱くする。
絡め返した舌を噛まれ、臨也の腰が跳ねた。
噛まれた舌は切れ、僅かに血の味が唾液に混ざる。
その傷口を丹念に舐められ、微かな痛みとともに腰に痺れるような感覚が走った。
――彼の口付けは、繊細なのに激しい。

「はぅ…ん、ぁ…んく…」

忘れてた。
俺は、シズちゃんのキスに弱かったのだ。


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