Novel2

□甘色プレリュード
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つい先日、臨也は幸せと言うものに改めて触れた。

…と言うのも。


「おはよー、シズちゃん」

布団に潜り込む静雄の肩を揺さぶると、呻きつつ静雄は瞼を開いた。
目が合うと、静雄は寝惚け眼のまま、にへ、と笑う。
シズちゃんの寝起きは面白いなぁ、なんて思いながら、「ご飯出来てるから来てね」と笑った。


臨也と静雄は、同棲している。
もっと簡単に言えば、“結婚”したわけで。

高校生の頃の二人を見て、誰が想像しただろう。
甘い新婚カップルの空気を漂わせながら、始まったばかりの新しい毎日を送っていた。



…その日の仕事中、臨也はふとテレビに目を向けて、思わず視線を止めた。
幼稚園児と、園児たちと触れ合っている最近人気のタレント。
可愛らしい子供の笑顔に、目が止まった。

子供は正直好きじゃない。
煩いし、あまり可愛いとも思えない。
どっちかと言えば鬱陶しい。
…でも。

「…波江さん、我が子って可愛いと思う?」

「何よ突然…
一般的には可愛いとか言うけど、相手にもよるんじゃ無いかしら?」

「かなぁ…」

食い入るようにテレビを見つめる臨也を訝しげな目で見ながら、波江は自分の仕事に戻った。

こども。
俺とシズちゃんの、
ふたりのこども。
きっと、いや、
絶っ対かわいい。
シズちゃん似だったら俺がやばい。

想像したら楽しくて、仕事に手が付かなくて波江に怒られたけど。
二人の血を引いた命を授かる、なんて、憧れるような、眩しいような気がした。



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