Novel2

□唇の関係
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…そして今日、どうにかシズちゃんの家に泊まるに至ったのだけれど。

「お風呂、ありがと」

「ん…ああ」

お風呂を上がって、ベッドに腰かけるシズちゃんの隣に座って。
此方を見たシズちゃんと目が合って、
そのまま、唇が重なった。
引き寄せられた体。
その甘い唇に、僅かな期待が膨らむ。
…しかし、唇が離れると同時、触れた体温も離れていった。

…それだけ。
キスだけで、終わり。

やっぱり、駄目なのかな…。
そう、思わざるをえなくて。

恥ずかしい。
すごく、恥ずかしい。
…でも。

否定するプライドを圧し殺して、臨也は静雄のシャツを握った。
此方に気がついた静雄と目が合って、
今すぐにでも逃げ出したくなりながら、小さく囁いた。

「シズちゃん、…しよ?」

恥ずかしくて、
恥ずかしくて、
でも、わかってほしくて。

静雄は、臨也の言葉に停止した。
数秒の沈黙。

「駄目だ」

…開かれた唇は、否定だった。
どうにか泊まりまでこぎつけて、折角、頑張ったのに。
なのに、否定、なんて。


「シズちゃんは、俺のこと好きなの?」


思わず口から溢れた、堪えてきた言葉。
言葉だって疎かなのに、繋がれるものが唇だけだなんて、耐えられなかった。


…そして、今に至る。


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