Novel2

□※咄咄怪事
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――そして着替え終わり、今に至る。

臨也のいるトイレへ歩んできた静雄は、楽しそうに臨也に問いかけた。

「ちゃんと下着脱いだか?」

「…当たり前だろ、言われたんだから」

恥ずかしさで泣きそうだった。
でも、その楽しげな声に、追い出したがるような色は無くて、安心した。
…否、安心できる状況では無いけれど。

「見せろよ」

「…やだぁ……」

恥ずかしい。
恥ずかしい。
頭の先から、考えたくない所まで、まるで熱されているように体温が上がっていく。
透ける生地を押し上げている自身を考えるだけで、堪えられなかった。

…しかし、静雄が拒否を聞き入れてくれるはずもなく。

「やだじゃねえだろ?」

にやり、と笑ったかと思えば扉を勢いよく引かれ、
ドアノブをきつく握りしめていた臨也は、扉に引っ張られるがままにトイレの外、静雄の胸へ放り出された。

…よかった。
念のためにジャケットのファスナーを閉めていたお陰で、一見しただけじゃ下がどうなっているかは分からない。
いや、全然良くはないけれど……。


「馬鹿、最悪!!」

真っ赤になりながら怒鳴る臨也は、再びトイレに逃げようとする。

…しかし、手首を捕らえられ、壁に押さえつけられた。
かぁ、と体が熱くなり、睨み付けてやろうと静雄を見上げて…
臨也は思わずぽかんとしてしまった。

「…な、に、シズちゃん……」

完全に欲情した静雄の顔。
恥ずかしさで顔を逸らそうとしたものの、
手首を捕らえていた手が顎に添えられ、そのまま唇を奪われた。

「ふ…ん……ぅ」

何のためらいもなく静雄の熱い舌は臨也の口内に入り込み、
臨也の舌をすくい上げ、裏筋を舐め、歯列をなぞる。
そのまま静雄の口内に引き込まれた舌を甘噛みされ、びくりと腰が跳ねた。
歯を使われると、やばい。
簡単に体が熱されていく。

「…ん…ぁぅ…はぁ、む…」

「…は…っ…臨也……」

低く囁かれた声に、どくりと胸が高鳴った。
囁きだけで、十分なくらい下半身を擽られる。
――キスに呑まれている。
全ての感覚が口付けに持っていかれるのを感じながら、抵抗すら出来ずに臨也は静雄のシャツを握りしめた。


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