Novel2

□唇までの距離
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次の日。
学校へ来て、既に席に座っている静雄に気がつきながら、挨拶もせずに自分の席に着いた。
静雄はと言えば、一瞬臨也に目を向けて顔をしかめたものの、
手に持つ牛乳パックに差したストローを吸い続けている。
そして、いつもそのまま静雄に直行するところを、今日は門田に話しかけた。

「おはよ、ドタチン」

「あぁ、はよ。
珍しいな、臨也が俺に真っ先に話しかけるなんて」

不思議がる門田にギクリとしながら、臨也は笑顔を繕う。

「そう?だって俺、ドタチン好きだもん」

そう言って然り気無く静雄へ視線を向ければ、彼は机に突っ伏していた。
僅かに、胸がちくりと疼く。
でも、仕方ないのだ、思い切ったのは自分なのだから、まだ頑張らなければ。

朝、号令が始まるまで、臨也は門田と話していた。
机数個分前にいる静雄は、関心も無さそうに、手に持っている牛乳を飲み続けていた。


それからも、シズちゃんを挑発しなかったり、ドタチンや新羅とばかり喋ったりしたけれど、
シズちゃんからはやっぱり反応は無くて。
自分からやろうと決めたのに、段々辛いだけになってきた。
シズちゃんと話したい。
シズちゃんに抱き締めてもらいたい。
こんなの今日限りでやめよう。
キスしないくらい、我慢するから。

…でも、もしかしたら、
俺に飽きちゃったのかもしれない。
キスもしないし、今まで嫉妬だってしてくれたのに、今日はそんな素振りすら無い。
此方を見向きもしないのだ。

もし、シズちゃんが俺を好きじゃなくなってしまったのなら。

…考えることを、頭が拒んだ。



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