*Eternal Love

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『手前も、俺にとっては食糧だ。
堪えられなくなったら、いきなり襲うかもしれない。
手前なら解るよな?
…危ねぇから、俺にはもう近づくな』

『手前は、人間でいて欲しいんだよ』


あの日以来、今までと変わらぬ日常を過ごしていた。
学校では一緒に過ごして、普通の学生みたく互いの家に行ったり。
気持ちを伝え合ったにしては進展もなく、以前までの友人関係が戻ってきたのと殆ど同じ。
…大体、理由は分かる。

シズちゃんは、俺の血を吸ってしまうのが怖い。
近くにいたらいつ、その衝動に駆られるのか、怖い。
だから、きっと友人関係以上に踏み込もうとしないのだ。
…きっと。あの日の言葉が嘘じゃないのなら。

勿論、臨也は一般的な人間。それ以上もなければ、それ以下もない。
だから勿論、吸血鬼の食欲の度合いがどんなものかも知らないし、分かりっこない。

でも。
離れたくない。
シズちゃんと離れたくない。
ずっと、ずっと一緒にいたい。

こんなに思うのは初めてだった。
今まで何となく生きてきて、恋愛感情を抱いたことだってあった。
でも、それも何となくのうちだった。
だから、どうしても、と思う自分がいることにすら驚いているくらいで。
一緒にいると安らぐ。自然と胸が満たされる。ふと触れたくなる。
そんな感情は、知らなかった。

だから。
吸血鬼になっても、構わないと思った。




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