*CALL ME, CALL…

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『もしもし、臨也?』

臨也は電話に出た。
相手は、新羅だ。

「何?何か用?」

隠すことも無く気だるそうに臨也は答える。
新羅は言葉とは裏腹に、さして心配そうではない声で、臨也に問いかけた。

『怪我が悪化したって静雄に聞いたけど、大丈夫?』

「ああ、新羅に心配される必要ないくらいには大丈夫だよ」

臨也は、皮肉を込めて言ってやる。
新羅は、そう?などと言いながら、基本的には関心が無い様子だった。
確かに、静雄と喧嘩をして怪我をするのは珍しくないからだろう。


「そういえば新羅って」

臨也は毒々しさを孕んだ口を開く。

『え?何?』

「色々仕組んでたよね」

臨也の突然の言葉に、新羅は数秒の沈黙後、『なにが?』と尋ねた。

新羅も、臨也や静雄にばれてることは遠い昔に解っていたし、大して隠そうとは思っていない。
どっちかと言えば、終わり良ければ全て良し、そんな思考で、新羅は色々企てた。
終わりが悪かったら、新羅の身がどうなっていたかなんていうのは、誰にも保障できないのだけれど。

臨也は、感情の読めない声で言った。

「まぁ、新羅が何処まで仕組んでいたかなんて、どうでもいいけどさ」

「新羅の私情で、俺を面倒事にまで巻き込まないでよ」


ぷつり。
通話を切った音が、臨也の携帯から響いた。
掛かってきた電話を一方的に切ることの何が悪い。
臨也は携帯を閉じ、机に置くと、再びベッドへ横たわった。


何も出来ないと言うのは、酷く退屈だ。
学生も、サラリーマンも、主婦も、誰も彼もが忙しくしている時間に動かないで居ると、
日常に飲み込まれたような、そこから非日常に更に吐き出されたような、そんな気持ちになる。
何かをしないといけないような気持ちにすらなる。



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