*CALL ME, CALL…

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ここ数日、見事に臨也と喧嘩していない。
新羅に挑発され、了解してしまった以上、下手に臨也と殺り合えば、馬鹿にされかねない。
語頭に闇、とつくが、彼も腕のたつ医者だ。
基本形態が真っ向勝負な静雄とは頭のキレにも多少の差がある。

…だが、臨也と喧嘩しなくなってから、いまいち、毎日が単調な気がする。
避けているのは自分なのだが、それでもなんだか、定形した毎日の中にいる気がする。

暇。
イライラする。

「次会ったらブッ殺す…」

物騒なことを呟きながら、静雄はぐらついたような気持ちを無理矢理押し退けた。



そんな時、不意に携帯が鳴る。
着信相手を見ると、数日前挑発をしてきたアイツだった。
静雄は仕方なしに電話に出る。

『やっほー、静雄』

苛々している中でそんな呑気な口調で言われると、苛立ちが更に募る。
わざとなんじゃないか、と思うほどにのんびりとした声に、携帯を握りつぶしたい衝動にすら駆られた。

「…何だ」

明らかに苛立ちを露にした声に、新羅は宥めるように声を掛ける。

『何イライラしてるんだい?
僕には関係ないことだけど、電話越しでイライラされると僕が責められてるみたいじゃないか』

実際のところ、原因はほぼ全て新羅にあるのだが、静雄はそれには触れず、「そんなことを言うために電話したのか」とドスの効いた声で問いかけた。


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