*ONE DAY, ONLY DAY
□Daily.MIKADO RYUGAMINE
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「おはよ」
「はよー」
都内、池袋にある来良学園。
登校時間の校門は、制服姿の学生で混み合っている。
――その学生の人波の中の二人。
「おはよう、園原さん」
「おはようございます」
竜ヶ峰帝人と園原杏里も、来良学園の生徒だ。
一見すれば恋人同士のようにすら見えるのだが…
二人は、ただの友達同士。
時々クラスメイトにも問い詰められるが、何度聞かれても「友達だってば」としか言いようがない。
…実際、帝人は杏里のことが好きなのだけれど。
簡単に伝えられたら苦労しないよ…
はぁ、と溜め息を吐けば、隣から「どうしたんですか?」と愛らしい声に問われ、
誤魔化すように「授業めんどくさいなーって」なんて僅かに動揺しながら答えた。
誤魔化すために使ったものの、授業はやはり面倒臭い。
嫌いだ、と真面目に受けないわけにはいかないから、素直に先生の話を聞くのだけれど。
…ふ、と、思う。
好きだ、なんて、いつになったら言うことが出来るのだろう。
きっと、正臣が帰ってくるまで、言わないんだろう。
――正臣は、帝人の親友だ。
この池袋に来る切欠を作ってくれたのも、その親友。
彼がいなければ、この非現実的な日常に出会うことは無かった。
…でも、今その彼はいない。
帝人の知り得ない場所で、きっと毎日を過ごしているのだ。
そう、きっと、楽しく。
ぼんやりと見上げた空は綺麗で、突然先生に当てられるまで、帝人は窓の外を眺めていた。
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