*Eternal Love

□永遠小夜曲
1ページ/4ページ


「ただいま」

「お帰り、臨也」

再会し、お互いの気持ちが未だに繋がったままだと確認し合い、二人暮らしを始めて早数ヵ月。
仕事が終わり帰ってきた臨也は、静雄の待つ自宅に帰宅した。
料理本で味を調整しながらの慣れない手料理を作って待っていてくれる静雄が愛しくなりながら、ジャケットを脱いで食卓についた。

「いただきます」

「…ん」

臨也の様子を気にしているのか、静雄はテレビへ視線を向けつつ、ちらりと臨也を見やる。
口に運んだ味を見て、美味しいよ、と返せばほっとしたのか、知ってる、と不貞腐れたようにぼやいてテレビに視線を移した。

変わらない。あの頃から、ずっと。
勿論、不老不死の静雄なんかは尚更。
ようやく高校生のエンドレスは終わらせたのだが、風貌は17歳と変わらず。怪力もあり慣れた力仕事をこなす姿は、手際がよくて見ていて羨ましい。
彼を見ていれば、自分が年をとっていくのをまざまざと認識してしまう。


「若いっていいね」

臨也の唐突な言葉に、静雄はテレビに向けていた顔を逸らし、僅かに首を傾げる。

「臨也もまだ若くないか?」

「んー…17歳に言われてもなぁ……」

「中身は俺のが年上だろ」

そんな会話をして、それでも羨ましいよ、と苦笑した。
すると、静雄は妙に真剣な顔になる。首を傾げ返せば、静雄は口角を僅かに緩めて言った。

「…俺は、年とれるのが羨ましい」

「――…」

良くない話題にしてしまっただろうか、と思い直すが、話し始めた以上止めることも憚られ、臨也も口を閉ざした。
静雄は、テレビへ向けていた視線を臨也へ向け、淡々と話し出す。

「目に見える成長がある方が、生きてるって感じがするだろ。老化でも同じ。
生きてるから成長して、生きてるから死ぬ。死ねば、流れ去ることもたくさんある」

臨也は何も言えないまま静雄を見つめた。それに気がついた静雄は苦笑とともに「ごめん」と呟く。
それから、静雄はその笑顔を優しいものに変えた。

「でも、俺は臨也が年取っても、ずっと好きでいるからよ」

――ああ、恥ずかしがりなくせに、唐突にそんな台詞を言うから。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ