*Eternal Love

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2年生になって、半月。
覚える気は無くとも、クラスの騒がしい奴の名前と席が近い奴の名前は覚えた。
それと、隣の席の平和島静雄、…シズちゃん。
始めの頃はそう呼ぶたびにムスッとしていたものの、もう諦めたのか何も言われなくなり、寧ろよく話す相手になった。
時には喧嘩腰になって、静雄が人間離れした力で何かしらを投げてくるのだけれど。
それにも最早慣れたし、単純で短気な彼をいじるのは楽しい。


そんな、いつも通りの日。

臨也は、夜中に裏通りを歩いていた。
住宅街は、夜中ともなれば交通量は皆無に等しい。
申し訳程度に付けられた仄暗い街頭が、無機なアスファルトを照らしているだけである。

何故こんな時間に外へ出歩いているかと言うと、喉が渇いたから、なんていう理由で。

夜中に目が覚めて、喉が渇いていたため台所へ行ったものの冷蔵庫に飲み物は一本もなく、
にわかに騒がしい妹たちの部屋へ行けば、夜中に関わらず家にあるありとあらゆる飲み物を混ぜて遊んでいた。
怒りより呆れがきて、早く寝ろ、とだけ言って部屋を出た。
…でないと何を混ぜたのかすら疑わしい飲み物を飲ませられる気がしたから。
どうしようか迷った挙句、明日の朝に飲み物が無いのも困るため、わざわざ近くのコンビニまで出向いたわけだ。


…そして帰り道の今に至る。

本当に面倒臭い妹たちだ。
子供が3人いて、その3人ともが真っ当に育たないかもしれない親が気の毒にすら思える。
一応我が家は一般家庭のはずなんだけど。

そんなことを思いながら、歩いていた時だった。

カツ、カツ、カツ、
――背後に足音があるのに気がつく。

こんな時間に他に出歩いてる人なんているのか、と、僅かに不安になって振り返ろうとした。

…しかし、既に足音は真後ろだった。

振り返ろうと首を回した瞬間、後ろから手が伸びる。
あまりに突然のことに、逃げることすら出来ない。
伸びた手は、背から臨也の顎を捕らえた。

首筋に、背後にいる何者かの呼吸を感じ、舐められたような感触が這って背筋が凍る。
煩く跳ねる鼓動と恐怖心でいっぱいになりながら、臨也はどうにか震える声を漏らした。

「誰だ…っ」

――首にかかる呼吸が、一瞬止まる。
顎を掴む手が汗ばんでいるのが分かった。
何なんだ、こいつ、突然…。
そう思いながら、逃げ出そうとした時。


***
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