リクエスト
□色恋ロジック
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そして、顎に添えていた親指を、臨也の口唇に添えた。
そのまま口腔へ、唇の裏を探るように入れ込んでいくと、臨也もその指を受け入れるように舌を這わす。
熱いほどの舌が、親指の指紋さえ読み込むように丹念に舐め上げ、唾液が生々しい音をたてた。
「…エロい顔してんなよ」
「ひてないひ、へんふぁい」
指を咥えたまま舌足らずに反論する。
静雄はその様子に笑い、口を開いた。
「またしたくなった」
「は!?」
先刻交わったばかりなのに、そう思った臨也に対し、静雄は自らの意見を折り曲げることは無い。
声にすらそんな気迫を醸しながら、静雄は言う。
「今触りたいと思ったから触るだけだ。
愛してるなら、当然なんだよな?」
その言葉に、臨也は、かぁ、と頬を染めた。
指を咥えたまま、静雄を睨みつける。
「ばーか」
「言ってろ」
勿論、赤い顔で指を咥えながら言われたところで、静雄の欲情をそそるだけ。
静雄の笑顔は不敵なのに、何処か優しくすら見えた。
そして、臨也の口腔から指を抜くと、再び唇を重ねる。
ひたすら甘く、とけるような熱を感じながら、臨也は瞼を閉じた。
沈んで、溺れて、浮き上がれなくなる。
色恋の論理に沈められていくのに逃げ道がないのなら、
沈んで、沈んで、抜け出せないほどの深みまで沈んだ先で、
抱きとめてくれる腕を、信じてみようと思う。
END