*Eternal Love

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キリキリと痛む胸を堪えながら、口を開いた。

「お前だって分かってるだろ、俺は吸血鬼だ」

こくん、と小さく頷いた臨也は儚くて、抱き締めた肩を更に強く引き寄せる。

「人間に食欲があるように、吸血鬼にも食欲があるんだよ」

こくん。再び、艶やかな髪が揺れる。
本当は、言いたくなかった。
――全ての原因は、自分の恋慕にあることを、解っているから。

「手前も、俺にとっては食糧だ。
堪えられなくなったら、いきなり襲うかもしれない。
手前なら解るよな?
…危ねぇから、俺にはもう近づくな」

涙が溜まったままの大きな瞳が、静雄を見上げた。
臨也の困惑した顔は、胸が悲鳴をあげるほどに締め付ける。

…でも、
彼を裏切りたくない。
傷つけたくない。
殺したくない。
吸血鬼にしたくない。

背中に回された腕をほどいて、身体を離した。
ほんの数分しか触れていなかったはずなのに、妙な寒々しさが胸を冷たくする。

…良いんだ。俺は間違ったことはしていない。
そう、不安定に揺れる胸に言い聞かせて、再び踵を返そうとした時だった。


「俺、シズちゃんのこと好きだから、いいよ」


唐突に紡がれた声に、呼吸が止まった。
臨也を見れば、その顔は無理矢理に笑っていて。
紅い瞳からは、白い頬へ涙が伝っていた。

「…死にたくはない、けど…
吸血鬼になって、シズちゃんと一緒にいられるなら…構わない、よ?」

臨也は必死だった。
必死だからこそ、その気持ちは静雄の胸を酷く締め付ける。

彼の、好き、の意味はどんなものなのか。
どんな気持ちで、吸血鬼になっていい、なんて言ったのか。


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