猟奇少年と純愛少女

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何を解剖するか決めずに衝動的に外へ出たので、取り敢えず当てもなくぶらぶらと歩いてみた。

――さぁ、何を開こうか。今までにした事があるのは、昔やった蛙と今日やった鮒。
初めて生き物の中身を見たのは俺が小学五年生の時だった。あの時のことは今でも鮮明に覚えている。
昔から"そういうこと"に興味があった俺は、蛙を目の前にして自制が利かなくなった。そいつを捕まえて、石で頭を叩き潰す。そしてハサミで腹を切り開き、指で中をほじくり返して内臓を地面にぶち撒けた。

――凄かった。
その行為を行っている最中、自分の鼓動が耳に届いてて……。ずっとドキドキしていたし、その日はなかなか眠れなかった。
でも勃つとまではいかなかった。今でも時たまやるのだが、なんだか物足りない。飽きたというのもある。それに今から蛙を捕まえるというのも季節的にも難しい話だろう。



……そういえば、初めての性的興奮を経験したのは猫の死体。
だが、俺が直接腹を開いた事はない。



ねこ……。



今日は猫にしてみるか。





材料が決まったので野良猫を徹底的に探す事にした。
でもあまり目立った所には行けない。この時間に警察に見つかったら、確実に補導される。カッターナイフに気づかれたら、より面倒なことになるだろう。それは絶対に回避しなければならない。
交番付近や大通りまでは足を伸ばさず、公園の草影や裏道、人目の着かない暗がりを探した。

探してから約四十分後、集合住宅他のゴミ捨て場前で路上駐車をしている車の影から、何か動くモノを発見した。



……――いた。
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