猟奇少年と純愛少女
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なんでそんなことを聞くのだろう……。
私は一瞬疑問に思ったが、あまり深く考えずに「可哀相だと思う」と答えた。榊原君は死体から私に視線を移す。
――なんで?
榊原君は、確かにそう言った。
彼の目を見る。澄んでいて綺麗な瞳。純粋に、素直に、疑問に感じているようだった。
でも私には意味が分からなかった。何故榊原君は疑問に感じるのだろう。榊原君はこの猫が可哀相だと思わないのだろうか。
「なんでって……。
この猫、殺されたんだよ?多分。
事故ならまだしも、人に殺されちゃうなんて……」
「それは可哀相なんだ」
「可哀相だよ。
その人が殺さなければ、この猫は今も元気に生きてたはずなのに……」
「……」
話しているうちに何だか悲しくなってきた。目に熱を感じ、じんわりと視界が涙で歪む。
勇気を出して、死体を見た。本当は目を背けてしまいたかったけど、背けてはいけない気がした。
この子はどんな理由で殺されたんだろう。どんな理由であろうと、こんなこと、許されない。
「誰がどんな理由でやったのかは知らないけど……。
同じ人として、考えられないよ」