猟奇少年と純愛少女

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昔の事を思い出していると突如無性に何かを解剖したくなった。しかし当然ながら、家の中には解剖出来る生き物が何一ついない。当たり前のことで、わかってる。わかってるのに、自分のずっと深いところが強く求めていた。

解剖がしたい。血液が見たい。血液に触れたい。内臓が見たい。内臓に触れたい。死体が見たい。死体に触れたい。死が見たい。死に触れたい。死を感じたい……。

遂にはその欲求をどうしようもなく実行に移したくなり、俺は外に出かけることにした。今は夜だが構うものか。親はお互い、それぞれの愛人と遊んでるだろうし今日も帰って来ないだろう。


その時ふと、何故だか北村のことを思い出した。そして小さな紙のことも。

メール……。

ハンガーにかけてある制服のポケットに手を突っ込み、小さく折り畳まれた紙を探り当てた。丸い字で書かれたアドレスに従い、携帯を片手にポツポツと打っていく。取り敢えず、名前をのせて送信。

そのまま携帯をズボンのポケットに突っ込んで、ペン立てに刺してあったカッターナイフを着ていたパーカーの前ポケットに入れた。このカッターナイフは安い物ではなく、薄い木の板くらいであれば力任せに切断することもできる、ごついやつだ。

少し冷え込んできた外へ出る。冷たい夜風が頬や髪を撫で、その心地好さに俺は目を細めた。
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