猟奇少年と純愛少女

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自分でも驚く程、震えたいたのが嘘だったかのように両足に力を込めて立つことができた。榊原君のことも、ちゃんと見据えることができる。話をしている間も、彼の手を取る時も、私は落ち着いていられた。
その変わり様に、彼は驚いているようだった。



……――私が変われた理由。


それは榊原君の揺れている瞳と、断言し続ける話し方にあった。

私は何故彼がそんな状態になっているのかが引っかかり、必死で考えた。今まで行ってきた事や置かれている立場、考え方、感じ方……。出来るだけ彼の目線になって、時には客観的に見て考えると、とある可能性が浮上したのだ。


その可能性に気づいた瞬間、私は榊原君をなんとしてでも一人にしてはいけないと思った。


……ただ、そんなものは結局は可能性"でしか"なく、あくまでも私の憶測。絶対にそうだなんて断言出来ないくらい、私は彼のことを何も知らない。
そう。何も、知らなかった。


でも、彼の目を見ていると、そうとしか思えなかった。



榊原君は、きっと、苦しんでる。
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