VOCALOID 2
□壊れた世界で君と生きる
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ガラクタの山の中。
そこに彼女はいた。
もう今にも動かなくなってしまいそうな程壊れた体は見ていてとても痛々しい。
「初めまして」
「初めまして」
声を掛けると柔らかい笑みで返してくれた。
「まだ歌えそう?」
「なんとかね」
ガラクタの山で独りだった俺は、彼女との出会いに希望を見付けたような気がした。
晴れの日も、雨の日も、俺たちはこのガラクタの山で過ごした。
俺たちに出来るのは歌う事だけ。
ボロボロになった体で偽りの命ある限り歌う事だけだ。
そんな偽りでも独りはやっぱり心細いもので、俺たちが惹かれ合うのも必然だったのかもしれない。
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