VOCALOID
□伝えた想いは
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「……どうして?」
避けると思っていた。
抵抗すると思っていた。
しかし、アイスピックは確かに彼の心臓に刺さっていて、彼は俺の目の前で倒れた。
両足に力が入らなくなり、俺はその場で崩れ落ちた。
「どう、して…」
「V3…君…」
息も絶え絶えの彼がふわりと優しい笑みを俺に向けた。
理解が出来ない。
思考が追いつかない。
彼は、血の付いた手で俺の頬に触れる。
「ありがとう…」
「え…?」
「こんな、にも…好きになってくれて…ありがとう…。
私も…君が好き、だったんだ…」
彼の目は俺を見ていたけど、少しずつ曇ってきているのがわかった。
「気付いてあげれなくて…ごめん…。
君が望むのなら、私は…」
彼の言葉を最後まで聞くことは出来なかった。
頬に触れた手が床に落ちて、彼は全く動かなくなった。
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