青い真珠に願いを

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ぴちょん、と音を立てて魚の尾ビレが見えた。

真っ赤なそれは彼女のものではないかと思って声をかけようとした。

だが、お互いに名前を名乗っていなかったことに気付く。

彼女の名前が分からないのに、どう声をかければいいのだろうか。

悩んでいると、湖の真ん中に人間の頭が出てきた。

「あ、あの!
ぁ…っ……」

思い切って声を出してみたが、その後の言葉が見つからない。

声に驚いたそれは、翔を見て微笑んだ。

「こんにちは、人間さん」

あの時と同じ笑顔と声にほっとした。

「こんにちは、獣人(ケモノビト)さん」

翔も笑って返した。

「ふふっ。
そういえば、お互いに名前を言ってなかったね」

彼女は翔の近くまで泳いでくる。

ヒレがひらひらと水の中で揺れていて、それが一層彼女を綺麗に魅せるようだった。





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