Pathy


□abandoned
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土砂降りの昼下がり
ダンボールに詰められて
白い布に覆われたの

視界が暗くなったから
その先はよく
覚えてないけどね


酷い雷で目を覚ました
人通りの少ない路地裏
アーケードからは雨漏り

日が落ちても降り止まぬ雨
僕の頬にもひとしずく
舐めても味気ないひとしずく


あの日 こんな僕に気が付いて
赤い傘を差してくれた君
憂鬱な空とは裏腹に
透き通った目をしていたね



夜明けの合図で朝を知る
見上げると赤い傘
昨日の君を思い出す

来てくれる筈無いと
思いつつも
心の何処かで期待していた


あの日 あの時 あの瞬間
僕の心を貫いた
ねえ こんな醜い顔の僕でも
恋という遊びの資格は有るの?






ああ また
ぽつりぽつり 降り出した

赤い傘 傾いて
僕の心も錆び付き始めた






判っているけど 止められないの
泣きたいけれど 涙は出ないの
鍍金が剥げて 露出した黒い肌
逢いたい でも 逢えない
そうさ だって僕は人造人間

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