短 文

□甘い雨
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「脱がせても、いいかい?」


器用にボタンを外していく指。

二の腕までで何故か止まるシャツ。

彼は半分だけ顕になった名無の背中に、触れるだけのくちづけの雨を降らせる。

「君の背中は、綺麗だ」

ちゅっ、ちゅっ と、数分に渡り降り続ける。
それは、どしゃ降りと言ってもいい。

「…っ、」

「気持ちいいかい?」

頷けば、背中に掛かる、甘い吐息。

「それなら良かったよ。君が気持ちよくなってくれれば、それでいい」

まだ続く、雨は止まない。

「…ねぇ…」

「ん?続きが欲しいのかい?」

ふっ、と笑ったおおきな腕は、優しく暖かく包んでくれる。


「…じゃ、寝ようか」

「え…っ!?」

「冗談だよ。まったく君は…いちいち素敵な反応をしてくれるんだね」

中途半端に脱がされていたシャツが、とうとうベッドの外に放り投げられる。

「微睡みながら触れていただけなのに…本気にさせないでくれないか」

右手を掴まれ、導かれる。

「…ほら。触ってみてくれ」

そこは熱を籠らせて燻り、張り裂けそうなほどに生地を押し上げていた。

「君も、もっと触れて欲しいのかい?…たとえば、此所とか」

下着の端から指が侵入してくる。
濡れていたそこは、難なく指を受け入れた。

「不思議だな…。こんなに小さな君の身体に、俺の大きなものが、納まりきってしまうなんて」

宛がわれた塊は熱い。

「あまり激しくして、君に嫌われたくない。…でも、もし君が俺を求めてくれるんだったら、俺は…」


滅茶苦茶になるまで、君と こうしていたいよ。


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2018.04.21
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