ブチャラティ 長編夢
□25.Reminiscenza II
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第7章「Reminiscenza II」
Capitolo7《追憶 02》
フーゴ :side
… …
… …
ここは…。
見覚えのある書斎の中にいつの間にか居た。
僕はここで多くを学び、しかし最悪なあの時の記憶を呼び覚ますような書斎でもある…。
全部ではないにせよ、その一部分が完全に再現されている。
この場所には…
案の定と言っていいのか、彼女がいた。
「久し振りですねソフィアさん…」
僕が声をかけると、彼女はバーのカウンターのような場所の椅子にすでに腰掛けていた。
「突然、お邪魔しちゃってごめんなさい」
「本来なら飲み物くらい出した方がいいんでしょうけどね、ここには飲み物もありませんけどね…」
「飲み物なら、私が出せます。何がいいです?」
「…カッフェで」
彼女がSi.と答えると、特に何かしらの合図をするまでもなく、カウンターの台からコーヒーカップが生えるように2つ生まれる。そこに、彼女がどこから取り出したのかマキネッタで注いでいる。辺り一面にはカッフェの香りの良い匂いが漂う。
ソフィアはカメリエーラをしていた時の光景を思い出す。
お互い一杯飲んだところで
話は始まった。
「フーゴさん、久し振りですね。ごめんなさい、急に訪ねちゃって…」
「あなたが別の街に移り住んだって、聞いた時は驚きましたが、あれ、いつでしたっけ?」
「半年前かな…案外時が経つのは早いですよね」
「もう、そんなに経ちますか…。どうせ、あなたの事ですから…あれから、一度もブチャラティ には会いに行ってないんですか?」
「まぁ…会ってないです」
「それで、僕に会いに来た理由はなんですか?ブチャラティと上手くいかなかったから僕にしようとしてるんじゃないでしょうね。…だとしたら、僕はソフィアさんの想いには答えられませんよ。タイプじゃないんだ」
「フーゴさん、それは勘違いです!私もフーゴさんはタイプじゃないですし」
ソフィアさんは僕の言葉に怒ったように言う。その態度に僕の中でプツンと何か線が切れた音がした。
僕は思いっきりテーブルを叩く。
カシャンと2つのカップが揺れる音だけが静寂なこの場所に響き渡った。
彼女は僕の行動に少し怯えた様子で大人しくしている。
「ソフィアさん、あなたは招かざる客人なんですよ。人の夢の中に侵入までしたんだ。要件をさっさと言ったらどうです?」
「そうですよね。…私がここに来たのは…。
ちょっとした依頼をあなた達のチームにしたくて…」
「依頼って…。あなたは探偵か警察にでもなったんですか?」
「いえ、警察ではなく…。情報屋になったので…」
情報屋?随分…危ない仕事に携わっている。
半年前にギャングと関わる恐ろしさや危険さは半年より
もう少し前に嫌というほど味わったはず。
それなのに何故、情報屋だなんて…。
「あなたは、馬鹿なんですか。あれほどブチャラティに言われてたでしょう。危ないことはするなと」
「もう…関係ないじゃない。彼の事は…。…、…彼にとっても私をもう心配するなんて事はないんじゃないですか」
「まぁ、確かに。もう他人に近い感覚ですもんね。では言い方を変えますね。僕の個人的興味として聞くんですが、何故『情報屋』だなんてものになったんです?」
「だって、その仕事が、私の能力≠必要としてくれたから。それだけで選んだんですよ。今回のことは私一人では調べきれないので手伝って欲しかったので依頼しに来ました」
そういう彼女の顔は、リストランテで働いていた時に比べるとその笑顔はどこか陰っていた。
そしてそのまま打ち合わせに入る。
「分かりました。これ以上は詮索するのはやめにしますね。仕事の話に戻りましょう…。それでこの仕事は具体的に僕たちに何を求めているんですか?」
「まず、依頼主が私だって事はブチャラティさんには伏せて下さいね。それはですね…」
彼女と打ち合わせをする。
ブチャラティさんには
依頼主が自分である事は伏せて下さいか…。
彼は依頼主の情報はしっかり調べてからじゃないと
仕事を引き受けないのは知らなかったみたいですね。
ナランチャ :side
… …
… …
ソフィアがこの街からいなくなって
半年くらい経った。
俺は買い出しや、遠い場所に頼まれごとをする度に
ソフィアと何処かですれ違ったりしねぇーのかなって思ったけど、なかなか見つからない。
エアロスミスを飛ばしても
個人までは見つけられないから意味はなかったし。
フーゴからはソフィアの事は忘れろって言われてたけど、俺にとっては…あの時、
ねずみ男に誘拐されしなければ今でも
ブチャラティ達とリストランテに行けば
ソフィアが笑って出迎えてたんだと思う。
俺は買い出しの紙袋を抱えたまま
電話でアバッキオに確認を取る。
「アバッキオ、そっちの店の買い物は済んだ?」
「ああ、ちょうど今終わったから、これから車に戻るぜ。
そっちはどうだ?」
「俺の方も終わったから、車に乗って待ってるぜ」
俺は車の後部座席に荷物を入れ、運転席でアバッキオを待つ。
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