ブチャラティ 長編夢
□21.Sospetto III
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第6章「Sospetto III」
Capitolo6《疑惑 03》
フーゴ :side
僕はアバッキオを連れ、
ブチャラティ に命じられるままソフィアの自宅まできた。以前、ブチャラティと一緒に尾行していたのですぐに場所は分かっていた。彼女の郵便受けを確認すると、そこには10通の封筒が入っていた。そしてその全部が差出人は書いておらず、宛名だけ彼女の名前だ。文面を見る限り同一の人間である。
「開けてみるか?」
「開けるつもりですが…場所を変えましょうか」
アバッキオが僕に聞くが、周りからの視線が先程から痛い。ここはアパートなのでここの住人が出入りする度に怪訝そうな顔をされるので、僕たちは近くのバールに移動した。朝食もそういえばまだ取っていない事に気が付き注文する。
「カップチーノ2つ。あとそうですね…コルネット2つ付けてください。アバッキオそれでいいですね」
「ああ…」
僕たちは、口当たりのいいカップチーノと焼きたてで、ふんわりサクッとした甘いコルネットを口に運びながらも異様な手紙をゆっくりと開封していく。
「この手紙…同じ人物が出したのでしょうね、しかし10通って…毎日1通出したってわけじゃないでしょうし…そもそも消印がないので本人が入れてる可能性高いですね」
「それなら、俺のムーディーブルースでリプレイできる。しかし、なんだこのメッセージは…」
彼が取り出した手紙の中のメッセージには、
君は僕を裏切った。いい加減にしろ!なんで、ブチャラティの家に君は行ったんだ!!
君の事なら僕はなんでも知っていると思ったのに…今の君はわからない
君は今日は帰らないのだろう。あの男の家にいるのが耐えられない
ギャングに脅されてるんだろ?そうだよね?君は優しいから脅しに反発できなかったんだろう?
などなど…まぁよくこんな言葉が思いつかなといったものばかり。この送り主がなんで彼女がブチャラティ の家にいるというのが分かったのか。この手紙をブチャラティに報告しないといけないと思うと気がひける。普段は冷静に物事を判断できる男であるが、ソフィアと関係する事だと途端に
「この手紙から推察すると…ソフィアさんに盗聴器と発信機がついている可能性がありますね。そうじゃなかったら、ブチャラティ の家にいるなんて気付かないはずですからね」
「しかし、いくらストーカー被害にあったからと言って、ギャングの男の家にあがるのは大した度胸だな。ストーカーより怖いと普通は思うんじゃないのか…」
アバッキオのツッコミはもっともだった。恋人ですから当然ですよと言ってしまえば楽ですが、一応ブチャラティ には言わないように言われているので適当に誤魔化す事にした。
「僕が加入するより前から、ブチャラティ とソフィアさんはよく話す間柄でしたからね。ストーカーの被害を受け逃げ込むのは別段おかしい話じゃないですよ。」
「…随分とお人好しだな」
「お人好しじゃなかったら、僕やナランチャ、あなたみたいな人をチームに誘いませんよ」
「なるほど、それもそうだな。」
これには納得してくれたようだ。手紙の内容も開封したので次は肝心の犯人を特定する所だ。
「中身も確認できましたし、現場に戻ってムーディー・ブルースを使って特定してもらいますね」
「どんなクレイジーなやつか、その面拝むのが楽しみだ」
僕たちはテーブルにあるこの手紙を眺める。
開けたはいいが、また入れ直すのがめんどくさいなと思う。
このままゴミ箱に入れれたら楽ですが、証拠ですもんね。
僕とアバッキオはお互い無言で元の封筒状態にした。
… …
… …
アバッキオ :side
フーゴが俺に目でリプレイしろという。
「行くぜ、ムーディー・ブルース」
俺がスタンドを出すと、フーゴは興味津々そうに
俺のスタンドを覗き込んでくる。
「気が散るんだが…」
「ああ、すみません。でも本当に便利で羨ましいスタンドですね。」
よく言うぜと思った。フーゴから話を聞いているスタンドは実際にはその場でまだ見てないが、相当強力なスタンドだと思う。勿論、使い勝手という点では難しいのかも知れないが…。
「今からリプレイを開始する」
俺のスタンドが郵便受けの前で形作る…が、
ん、なんだこりゃ…。
こいつは…。ネズミか?
封筒を咥えたネズミが郵便受けから出てくる。
俺のネズミに変身したスタンドを見て、フーゴのやつも驚愕している様子だ。
「このネズミの行方を追えますか?アバッキオ」
「行方も勿論だが、それよりもまずどこから来たか追跡するぜ」
封筒を咥えたネズミが逆再生で動くが、
近くの下水道が通る細い所に逃げ込まれてしまう。
さすがにいくら再生したところで俺たちには見えない。
「追跡しようと思えばどこまでも追跡できるが、こうなると小さな場所すぎて俺たちには無理だ」
「では、手紙をポストに入れた後の動きも再現できますか?」
「ああ勿論だ」
そしてポストから出たネズミもリプレイして見るが…
同様のルートでどこかに帰って行く。
どちらにせよ、俺たちから見える状態ではない。
フーゴを見ると…携帯電話を取り出しながら深いため息をついた。
「これはめんどくさい事になりましたね。ブチャラティに切開してもらう他ないか…いやもっといい方法はないか。とりあえずブチャラティに報告しましょうか」
「ネズミが普通こんな動きするか?」
「どうでしょうね。ハトでも手紙を運ぶことができるので、調教したネズミなら意外とできるようになるかも知れませんね。ソフィアさんのストーカーは動物のブリーダーかなんかですかね?…まぁ冗談はさておき、あなたが言うようにただのネズミではない事は確かですからね。スタンド使いが操っている可能性も出て来ましたね」
「スタンド使いか…」
フーゴが電話をかけた。
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