ブチャラティ 長編夢
□19.Sospetto
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第6章「Sospetto」
Capitolo6《疑惑 01》
ブチャラティ :side
「流石だブチャラティ。まさか、あのズッケロ・ビアンコを君のチームが本当に潰してしまうとは思いもしなかったよ。ブフフフ。」
薄暗い監獄、
ガラスを隔てて、その男はいつも通り
クチャクチャとピッツァを食べながら俺を見下げる。
俺は心の何処かに引っかかっていた。
ロクでもない能力をもつ集団が薬売ってる
ズッケロ・ビアンコの幹部がそう言っていたのを
確かに覚えている…。
もうすでに消してしまった訳だから
詳細に聞き出す事は出来ない。
だが、まだズッケロ・ビアンコ以外にゲスな組織がいると言うことか…。
念の為に目の前にいる巨体の幹部、ポルポさんにも聞いてみるのもいいのかも知れない。
「ポルポさん…。この辺りで俺たちみたいなスタンド能力を持っていて薬を売っている組織の存在は耳に入れていませんか?」
俺がそう問うと、ポルポさんはふと考えた後…
心当たりがないのか首を傾げた。
首をかしげるといっても首と言えるものは肉と肉の間の中だが…
「… …。はて…。そんな組織は耳に入ってないがな…。あんまりそちらばかりに力を入れすぎては、仕事が滞ってしまうかも知れない。ズッケロ・ビアンコを潰したのだから、心配はないだろう。ブフフフフフ」
「任務や日常の仕事に支障が出ないようにするつもりです。何か情報がありましたら、是非とも俺に教えて頂きたいです」
「ああ。わかった、わかった。君なら支障なくできるだろう。情報が入ればすぐに君に伝えるようにしてやろう」
「ありがとうございます。助かります。この辺の治安を維持するのも仕事ですからね」
「全く君は面白い事を言うな。ここらの警官よりよっぽどいい働きをしてるんじゃないか?グフッブフフ!!」
そして俺は笑う彼の元を後にする。
その後、俺はフーゴ、ナランチャを引き連れ麻薬を扱う組織を潰しにかかる活動を積極的に行った。
… …
… …
フーゴ :side
真夏の照りつく太陽の光の中と
正反対の暗がりに目的の男はやつれた酷い表情でそこにいた。その男の職が警官とはにわかに信じられないほどだった。現在謹慎中のため警官とも今は呼べないのかも知れない。
… …
… …
あのズッケロ・ビアンコの事件からちょうど
半年経つ。
だいぶ、ナランチャも戦闘にもギャングとしての仕事にもなれ罪悪感に振舞わされることもなくなったようだ。
勉強に関しては点で成長しない彼だが、スタンドの才能は計り知れないと素直に褒め言葉も出てくる。
僕たちは麻薬を扱っているチームを次々から次へと潰していった。それに伴い街の住人からもブチャラティによりいっそ厚い信頼を置いているのは普段の会話を聞いていても伝わった。
順調に思えた麻薬組織掃討だったが
それについて、僕には大きな疑問が浮かんだのだ。
しかし…それを口にしては決してはならないと知っている。
あまりにも真実に近づくには危険だ。
それでも確かめなくてはいけない。
僕たちが麻薬に関わるチームを一掃していると言うのに、街での様子を見る限り良くなっている状態ではない。
つまり、誰かが別に売っているものがいるはずだ。
それが誰なのか僕は悪い予測を立てている。
ブチャラティの今後を左右することになると予想ができた。
僕の予感が的中しないでくれと祈りつつ真相を探っていた。
そんな矢先…。
ちょうど、組織の中で下っ端のロクでもないチンピラの男が、事件を起こし刑務所の中にいると言う情報を掴んだ。
その下っ端の男は麻薬について何かしらの情報を持っているんじゃないか?と。
僕はブチャラティには黙って、そのチンピラをこっそり調べようと拘置所に行くことになるが…すでに手遅れだと知らされた。こんな真夏に凍死状態で死んでいたらしい。生存していたらソフィアさんに協力を仰ごうかも考えていたのに残念だ。だが、もし…本当に僕たちの組織が関わっているとしたら、ブチャラティは死んでもソフィアには知られたくないと思うだろう。
ああ、情報収集が困難だ。
だからこそ、こうしてわざわざ足を運んだ。
__真夏に凍死。
こんな変死_どう考えても組織≠フものに始末されたとしか言いようがない。そこでそのチンピラから賄賂をもらっていた汚職警察がいると言う情報を掴み、会いに来たのだ。
そこから何かしらの情報を掴めるかも知れない。
… …
「____」
謹慎中の警官、アバッキオ。
僕の姿を眼下に捉えていると言うのに言葉一つない。
僕の質問に答えるつもりはないらしい。
「ねぇ、利口になりましょうよアバッキオさん。あなたはこのまま刑務所に行ったら、間違いなく死にますよ。元警官があの中で他の囚人からどんな目に遭わされるのか、あなたも知っているでしょう?しかも刑務官はあなたを助けない。最低のクズだとしか思ってもらえないんですからね」
この言葉には流石に言い返すだろうと思っていたが、未だに沈黙を貫く。
「あなたが見逃していた地域は、どこからどこまでだったのですか?あなたはあのチンピラに向かって発泡するのを躊躇ったそうですが…それは何かの取引があったからですか?」
だんまりですか…。
それでも僕は質問を続ける。
「麻薬はどうです、あのチンピラは麻薬の取引をしていたんじゃないですか。あなたはそれを見逃していたー違いますか?」
「……」
「だんまりですか、困ったなー」
僕が考えことに耽っていると、
「ーーーなんでだ?」
突然アバッキオが訊いてきた。
一体何を訊いているのかわからず、同様の声を僕があげると、険悪そうな顔で苛立ちながらも言う。
「なんでおまえは、そんな真剣な顔をしてやがるんだーーー薄っぺらのガキの癖に」
喧嘩を売られたのかと思ったが、様子がおかしい。
「えーとーーなんですって?」
「おまえはオレと大差ないはずだ…同じようなクズのはずだ…なのにおまえは、なんでそんな風に自信満々なんだ」
「あのねぇ、アバッキオさん、僕はーー」
「わかるぞ、おまえも同じだ。挫折したヤツだ。その腐った目を見ればわかるーーなのになんだ、おまえのその自信は」
「どう言う言いがかりなんですか、それは」
「おまえがそれ≠教えたら、オレも知っていることを洗いざらい教えてやる」
彼が何が言いたいのか僕は分からず混乱する。
いちいち遠回しで何を求めているというのだろう…。
「それ、ってなんですか?」
「おまえの理由≠セ。おまえがそんな風に前を向いていられる理由を、オレにも教えてくれ」
「僕はただ組織≠ノ忠誠を誓っているだけですよ」
「なら、オレにもその方法を教えてくれ」
「君は組織≠ノ入りたいと言うんですか?」
「おまえが、それが理由だと言うなら、そうする」
「君は警官上がりですから、絶対に組織≠ナ出世できませんよ。縄張りを任せてもらえことがなく、一生誰かの助手みたいな仕事をしなきゃならない。それでもいいんですか?それに後ろから誰かに刺されるかも知れない。組織≠フ方もあなたを真剣には守ってくれないでしょう。素直に取り引きして金をもらって、外国で遊んで暮らした方がいいと思いますがね」
僕の言葉に、もともと眉間を寄せていたアバッキオはより恨めしそうな表情で僕を見た。
こちら側のような目をしたこの男の事を
…麻薬関係事を伏せた上で、
ブチャラティ に報告してもいいかも知れない。
… … …
……
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