ブチャラティ 長編夢

□17.Angelo IV
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ソフィア :side




レオナルドさんを振って…
ブローノで夢で私以外の女の人と
付き合わないでと言った日から
何日か経った。

「ソフィアさん、僕あちらの席に行きますね!」

「レオナルドさん、よろしくね!」

あれから、リストランテでの彼との人間関係は何事もなかったような状態に戻った。レオナルドさんが私に気まずい思いをさせないように気を使ってくれたのだろう。
本当に良い人間だと思う。

それに比べ私は…

レオナルドさんとの人間関係は変わらなかったが、
あれから変わったことがある。

リストランテに来る、ブローノ、フーゴさん、ナランチャ君を見かけても、決してそこに知らない女性が声をかけに来る事も近づく女性もなく、どうやらブローノは本当に全員別れたらしい。

すごく嬉しい気持ちにもなるけど、
同じ女性として、よく分からないまま付き合い振られた女性たちは次こそは良い恋愛をできますようにと勝手ながら祈った。
しかし考えてみたら…彼女たちは美人さんで可愛い人ばかりだったので、私がそれを願う事自体が偽善的でとてもおこがましい。向こうからしたら、どの口が言っているんだと絶対に思う。

あんなにも嫉妬で狂っていた私が、彼が全員振ったと知った瞬間に彼女たちのことを思うなんて、なんて最悪な女だろう。それこそ、私なんて何をブローノにできてる?与えてもらってばかりで…

私も何か彼の為にできれば良いのに…。
なんだか、何も苦労せずにこの幸せな状況を手にいれてしまっている事に不安でいっぱいになる。

リストランテでブローノたちのいる席を眺めていると、
ブローノは電話がかかってきたのか、携帯電話を耳にあて席を離れていく。

ブローノが店から出たタイミングで、フーゴさんが私を呼ぶ。

フーゴさんに呼ばれる事は滅多にないため、
なんだろうと思い近づく。ナランチャ君は疲れているのか、やや眠そうな顔をしながら適当にフォークをくるくるスパゲッティに絡ませ続けていた。
私が、フーゴさんの前に来るとフーゴさんはいつも通り愛想とは無縁のいつものクールな表情でいう。

「ちょっと良いですか?これ、新しいのに変えてもらえますか?」

彼が指をさした皿の淵には、少しだが、確かに汚れがあった。
あぁ、申し訳ない。後で皿洗い担当の子に言わないとね。

「も、申し訳ありません。すぐに取り替えます」

私がすぐに謝ると、ナランチャ君は気にすることじゃないと言った様子で私に微笑む。

「俺は別にこんくらい良いと思うぜ、全く、神経質だな〜」

「次からは、こんな事ないようにしてください。あと、これ開いて中を見てください」

そしてメモの切れ端をフーゴさんにさらっと渡される。
私は皿と一緒にメモを持っていく。
メモをこっそり開くと書いてあるメッセージを読んだ瞬間、私は驚きを隠せなかった。

『今日の夜…12時頃に夢で僕にあってくれませんか。あなたに頼みたいことがあり、その打ち合わせの為にです。勿論、ブチャラティには内緒にしてください。読んだらすぐ燃やしてくださいね。』

私は読んだ後にすぐ、厨房のコンロでメモを燃やした。

さて、どうしたものか。

フーゴさんがわざわざこんな遠回しにするという事は、
まずい事を頼みたいのだろう。
ブローノだったら、恐らく頼まない事を。

そして、何より驚いた事はフーゴさんが私を自分の心の中に呼ぶということに驚きを隠せない。
 彼の性格上、絶対に心の中を覗かれるのは嫌なはず…。それに最近は前よりも私を避けていた様子だったので、急にこんな風に呼び出されるのは意外であったけど、読めない彼の心を私は私でのぞいて見たいという好奇心もあった。


私は今日フーゴさんの夢にお邪魔することに決めた。




******

******


そして、言われていた時間にレットに入り目を瞑る。
ファビデン・ドアに頼むともうすぐに行けるとの事だった。

視界が変わる。
そして見慣れた真っ黒な空間で服装を
イメージする。

いつもブローノの時はオシャレな服に変えているが、
今日はフーゴさんという事もあるので、
普段着に変えゆっくりと扉を三回ノックし
扉を開ける。

扉から見える景色は、
まるで図書館、いや書斎のようだった。
部屋の中には本という本は綺麗に整頓され入っている。
彼の几帳面、かつ神経質さが滲み出ているようだった。

フーゴさんの姿が見えなくて、
どうしようかと立ち尽くしていると二階から

「下で話したいので、適当に座って待っててください」

と上から声をかけられた。
私はチラチラと見回すと
バーのカウンターのような場所があったのでそこに座る。
しかしバーと違うのは並んでいるのが酒の瓶ではなく
難しそうな辞書のような本が並んでいるという点と、
一方側に椅子があるのではなく、交互に椅子があるという点だ。椅子に関しては正面に人が来ないように交互になっている。
フーゴさんの性格によるものだろうか…

フーゴさんは階段から下りてくると、
私のカウンターを挟んだ椅子に座った。
全くの正面という訳ではなく、私から見て斜め右である。

「少し待たせましたね。しかし、あなたの能力には驚きますね。…この書斎は僕がかつて嫌な思いをした場所でもあるんですけどね…。そこと違うのはこのテーブルと椅子くらいですかね。ここまで再現されると思いませんでしたよ」

フーゴさんは苦い顔をしながら言う。

「そうだったんですね。私は全く部屋に入るまではわからないので…いつも緊張して入りますね」

「あなたの部屋は見れないんですか?一方的に覗かれるのはあまりいい気分じゃない」

「残念ながら私の部屋は見れないんですよ。それに呼び出したのはフーゴさんからじゃないですか。」

「そうでしたね。でも居心地悪いと僕は感じてしまいますからね。確か、あなたはブチャラティとよく夢の部屋で会っているそうですがよく居心地よくいられなぁって思いますよ」

彼はそのあと、咳払いをし、
仕切り直す。

「では、そろそろ本題に入りますか…。これから話すことはメモに書いてある事同様にブチャラティには内緒ですよ。あなたにやって欲しいことがあるのですが、勿論断ってもらってもいいと初めに言っておきます。僕がブチャラティから頼まれた事をやるのに、…あなたのスタンドであれば都合がとてもいいと思ったので頼みにきただけですからね」

「わかりました。とりあえずは、まずどういった事を頼みたいのか聞かせてもらいますね」

そしてフーゴさんから聞かされる、ズッケロ・ビアンコについて今進めている話。とあるセレブの敷地内が怪しいと言う所まで辿り着いたが、そのセレブが本当に絡んでいるか確かめるのに苦労しそうだと言う話をされる。

なるほど…。確かに顔と名前が分かっている以上、私がその男に接触してしまった方が早い。私であれば、直接接触する手間が省けるし安全に聞き出せそうだった。

「あと、聞き出す方法については、僕に考えがあります。」

そして話しは続いた。

… …

… …


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