ブチャラティ 長編夢

□15.Angelo II
1ページ/4ページ

第5章「Angelo II」
Capitolo5《天使 02》


ソフィア :side





… …



真っ暗な空間。

私は瞼を閉じ、
意識を集中して記憶を探る。
つい最近、街のショーウィンドウで見かけた
うんと素敵な服をイメージする。

私はこの時いつも、おとぎ話にある「シンデレラ」を思い出す。

かぼちゃの馬車もお城もなければ
魔法が0時きっかりに解ける訳でもない。

深夜12時付近。

それでもこの瞬間は間違いなく魔法にかけられたシンデレラのようだった。フォアビデン・ドアという魔法使いにあった私は素敵な服に身を包んで彼に会いに行く。
そして朝になったら、いつもの日常が待っている。

私は深呼吸して、ゆっくりと扉を開ける。

するとソファーで待っている彼の姿。
荒れていた一時期と違い今は整頓されている部屋。
心を現す彼の部屋は基本的にすごく綺麗で落ち着いている。
レコードから流れる音楽が心の緊張をほぐす。

私は彼の元にいくと、彼はソファーから立ち上がり

「綺麗だ…ソフィア。会いたかった」

と声をかけ抱きしめる。
彼に何度抱きしめられても、抱きしめられた瞬間いつだって心臓が跳ね上がる。

「ブローノ…私も会いたかった」

夢の中で会うと約束し、
度々あっていたものの、彼だって忙しい日もあって会えない事が続くこともあった。

抱擁した後、テーブルにあったワインをブローノに注いでもらいながら…最近の事を話す。
夢の中のワインでは決して普通は酔わないのだろうけれど、
フォアビデン・ドアが作り出した夢の部屋だからこそ現実感がある。

彼に仕事について一度聞いた事があったが、
その時の彼は「聞かないでくれ」の一点張りだったので
私はそれ以降、近況については、自分の話ばかり最近はしている気がする。すっかり敬語で話さなくて、それこそ恋人らしくなった気持ちもする。
 何の話をしていても…私にとっては幸せで、ふと話をしている時に思い出す。

「ブローノ…私ちょっといいかな?ちょっと言いたいことあるんだけど!」

ブローノは少し私の勢いに驚いたキョトンとした顔をする。

「ブローノ。また、別の人とリストランテ行ってたでしょ!すごい優しい笑顔を浮かべてた!」

「おいおい、それは君を守る為に仕方がなくって何度も説明したじゃないか」

「…わかってる!…けど!……、いやなものは嫌なの」

こんなにも嫉妬で狂いそうになるとは思わなかった。
私は今まで仕事においても、感情的に突っ走るタイプではなかったと自負しているし、なるべく理論的に考えようとは思う人間だと思っていたのに…

街でブローノが見ず知らずの女性と楽しそうにデートをしている様子をたまたま目撃してしまうと、ひどく悲しくなる。 一人の人と関わるとその女性だけに危険性が傾くと考えてなのか、ちょこちょこっと知らない女性がチラホラしていた。不特定多数というやつである。

「それに…、ブローノが遊び人って思われちゃうじゃない。それも嫌。」

「遊ぶという言葉ほど、俺は別に彼女たちと寝るということもしていないが…食べに行ったりくらいだ」

「ああ、、私でもブローノと食べに行くことはないのに!」

「機嫌を直してくれ」

私の頭をポンポンと撫でる彼。これではまるで私が子どもではないか。

「ねぇ、ブローノ。女の子を泣かしたりしてない?」

「あ、ああ。ないと言ったら…嘘にはなるな」

その反応は、結構人数多そう。

「だって、今いろんな女の子と寝るまでには行かなくてもデートはしてるわけだよね…。そりゃ、みんな誰が本気なの?って泣きたくなると思うの。可哀想じゃない!」

「おいおい、今度は俺じゃなくてそっちの心配をするのか…君は随分と忙しいな。可哀想と言えば…そうかも知れないがこうしてソフィアと他の組織や俺がいる組織に知られずに付き合う為なら何だってするさ。」

そう言って笑う彼。うう。私は彼の笑顔に非常に弱い。
私の事をすごく大切にしてるブローノにいつも勝てないのだ。

「ブローノはいつもズルイ」

「ソフィアの方こそ、そんな可愛い嫉妬をするなんて卑怯なんじゃないか?」

「ちょっと、ブローノ…んッ…」

ソファーにそのまま押し倒される。
そしてそのまま深い口づけをされる。

このまま朝なんて来なければいいのに。
夢から覚めなければいいのに。

と何度思った事だろう…

私は幸せな熱に浮かされながら、
そのままゆっくりと目を閉じる。

… …

… …


.
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ