ブチャラティ 長編夢
□10. Peccatori IV
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第3章「Peccatori IV」
Capitolo3《罪人 04》
ソフィア :side
トントントン
3回扉をノックをする。
私はゆっくりと扉を開けると…
そこは前見た部屋と同様、
小さなリビングが目に飛び込んでくる。
部屋の中央にはソファーがあり、そこに腰を下ろしているブチャラティさん。
彼の手にあるワイングラスには赤ワインが半分ほど入っていた。
ソファーのすぐ隣には、古めかしいランプがあり、いくつかの写真立てを照らしている。
部屋の隅の蓄音機からは前とは違った曲が流れている。
彼、ブチャラティは赤ワインを一口飲むと私に向かってゆっくりと問いかけた?
「どうして…また、こうして夢で俺に会いに来たんだ?」
その言葉の前にはリストランテでは他人のフリをしたというのに≠ニ付いているよう聞こえる。
「……、リストランテでの事、謝りたくて…、ブチャラティ さん、ごめんなさい」
「いや…ソフィアが謝る必要はない。俺が言いたいのはそうじゃないんだ。なんと言えばいいのだろう…俺はてっきり俺が夢の中で無理やり唇を奪ったのでその事で俺とは関わりたくないものだと思ったんだ。だから、あらためて申し訳なかったと俺も謝りたいんだ」
ブチャラティさん…
そんなにも
あのキスの事を気にしていたんだ。
「ブチャラティさん…その…嫌じゃなかったので気にしないで下さい。それにあのキスはブチャラティさんは私が迂闊な行動をしようとしたのを諌める為にわざとやってくれたキスですよね?」
「…、…あぁ。」
「だから、ブチャラティさんの優しさから出たキスなので、私に申し訳なく思う必要なんてないですよ!」
私の方が…ブチャラティさんに
もっと悪いことをしているんだから。
「ソフィア…。キスが嫌じゃなかったというなら、そう言えば、何故あの時、他人の振りをしようとしたんだ?」
「それは…」
それは、あのリストランテで働くというのがあの瞬間で
バレたくなかったからなのだけども…
「いや…これは質問するまでもないな。
これから働こうとする職場でギャングと
知り合いだなんて職場の連中にバレたら
困っちまうよな…。」
私はブチャラティさんの言葉に
なるほど…と納得する。
確かに普通だったらそう思いますよね、と。そういう考え方もありますよね、と。
「偶然俺に、会ったと思っているだろうが、
あの店は俺のお気に入りのリストランテなんだ。
ソフィアには悪いが…
結構な頻度で来るが問題ないか?」
「問題ないですっ!」
むしろそれが目的だった私には願ってもない話だった。
そして、そうだよねと胸をなで下ろす。
普通の人の考えでは…
さすがに偶然だと思うよね。
そう、ブチャラティさん目当てでリストランテ勤務するなんて
想像つかないよね。
そんな人居たらめちゃくちゃ怖いよね。
自分の心をあえて自分で刺していくスタイルで心を落ち着かせた。
何はともあれ、
隠し通せて良かった。
ブチャラティ :side
ここは…昨日の場所か。
気が付けば、今日はあのリビングに居た。
二階には恐らく、病室もあるのだろう。
今日このリビングから目覚めた理由は分からないが…
彼女がスタンドの能力を使ったのは間違いなかった。
俺は少しウロウロと部屋を見回し、お気に入りのワインとグラスを見つけて一杯飲む事にした。
彼女にはリストランテで会ったばかりでかなり気まずかったはずだ。
なのに何故、彼女はこうしてスタンドを通じて俺に会いに来たのだろうか。
そんな想いで待っていると扉をノックする音が聞こえ、
扉が開かれた。
彼女に無理やり口付けたというのに、
何故…
「どうして…また、こうして夢で俺に会いに来たんだ?」
「……、リストランテでの事、謝りたくて…、ブチャラティ さん、ごめんなさい」
あぁ。他人の振りをした事についてか。
「いや…ソフィアが謝る必要はない。俺が言いたいのはそうじゃないんだ。なんと言えばいいのだろう…俺はてっきり俺が夢の中で無理やり唇を奪ったのでその事で俺とは関わりたくないものだと思ったんだ。だから、あらためて申し訳なかったと俺も謝りたいんだ」
俺は彼女の様子を見る。
「ブチャラティさん…その…嫌じゃなかったので気にしないで下さい。それにあのキスはブチャラティさんは私が迂闊な行動をしようとしたのを諌める為にわざとやってくれたキスですよね?」
本当は違う。だが…、
彼女にそんな事は言えるわけもない。
「…、…あぁ。」
俺は、ただ彼女に合わせて返事をした。
「だから、ブチャラティさんの優しさから出たキスなので、私に申し訳なく思う必要なんてないですよ!」
優しさでもなんでもないと
ソフィアが知ったら一体どう思うのだろう。
俺は誤魔化すように矛先を変える。
「ソフィア…。キスが嫌じゃなかったというなら、そう言えば、何故あの時、他人の振りをしようとしたんだ?」
しかし自分で疑問を投げかけて、
答えにはすぐ行き着いた。
「それは…」
普通に考えればわかる事だった。
「いや…これは質問するまでもないな。
これから働こうとする職場でギャングと
知り合いだなんて職場の連中にバレたら
困っちまうよな…。」
彼女が困る事は間違いないが、
それでも俺はリストランテにいつも通りに通いたい。
これは俺の勝手だが、彼女がいるとなると
尚更会いたいという思いが募る。
「偶然俺に、会ったと思っているだろうが、
あの店は俺のお気に入りのリストランテなんだ。
ソフィアには悪いが…
結構な頻度で来るが問題ないか?」
もともとお気に入りのレストランなんだ。
大義名分を得た俺は彼女に問題ないか聞くと、
彼女はすぐに問題ないと答えてくれた。
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