ブチャラティ 長編夢

□8.Peccatori II
1ページ/5ページ

第3章「Peccatori II」
Capitolo3《罪人 02》



ソフィア :side




扉が開き明るい光が一筋、
暗い店内に差し込んだ。

喫茶店から出て行く
彼の背中を見送る。

彼が出ていくと、
この喫茶店は一層寂しくなる。
自然と店内を見渡すと
過去ヒットした有名なレコードの
ポスターが額縁に収まっていた。
意外と店長は渋い趣味なのかも知れない。

さて、これから
どうしようかと考える。

とりあえず…
次の就職先見つけないと。

そんな事考えながらも、
私も手帳を取り出しぼんやりとしていると…。

あんなにも頑なに口を開こうとしなかった
店の店主が突然話しかけてきた。

「お嬢さん、訳ありのようだね…」

「き、聞いてたんですか?」

「まぁ、こう見えても、
 耳はいい方だからな」

先ほどブチャラティさんとした話を全部
聞いていたと言うのだろうか?
だとすると、相当にまずい事になる。
警察に言われてしまうのだろうか。

「どう、しますか?私を警察に引き渡しますか?」

「いいや、そんな事はしねェさ。
 俺も色々あった人間だ。
 この辺の情報には詳しいから、
 行くとこ無いんなら俺が仕事を紹介してやろうか?」

仕事の紹介…
怪しい仕事じゃ無いか不安になる…

「あー変な仕事じゃ無いから安心しろ。
 俺は実はこの街の情報屋をやってんだ。
 だからこそ、求人についても把握してるんだ」

「情報屋!!…あの、今日ブチャラティさんとの会話
 他の人に売らないで下さいっ!」

私が慌てて言うと、
無愛想だった店の店主はガハハと笑い

「売らないさ。ブチャラティ、彼の事はよく知っているからな。
ああ言うまっすぐな男は嫌いじゃ無いんだ。
ブチャラティがあんたの入団を断ったのだって、
あんたみたいなお嬢さんを巻き込みたくは無いんだろうな…」

ふと思いついたように彼は言う。

「知りたい情報があれば、俺に言えば高値で売るぞ?
 求人情報に関してはサービスだ。どんな職種がいいんだ?」

「そうですね…、今までやって来なかった仕事もいいかも知れない」

私は何個かやってみたかった職種をあげる。

店長は店の奥からノートPCを引っ張り出し
ものすごい速さでタイプしたかと思うと、

「ここなんて、どうだ?」

と紹介してくれたリストランテ。

「ここはブチャラティがよく来る店だ」

ちょ、ちょっと

「ちょっと。どうして」

「お嬢さんブチャラティに惚れてるんだろう?」

何故、その情報はどこにも落ちて無いはず。

「情報屋さん、恐ろしいです」

「お嬢さんの顔を見れば誰でも、一発で分かっちまうぞ」

「そ、そんな場所で働いたら私はストーカーみたいです」

「彼に会いたいんじゃ無いのか?」

「そ、そうですけど、流石に!!」

そもそもスタンド能力者になった私は
フォアビデン・ドアを使えば
夢の中で彼に会う事は出来るのだから、
そこまで近いとこにいる必要はない気もする…


ふと私は思いつく。

「情報屋さん!私があなたの元で働くってのは、
 どうですか?」

「あーー。やめといた方がいい」

「どうしてですか?」

「恨みを買いやすい仕事だからだ。
 それにあんたにコッチの仕事を紹介したと
 バレたら、俺の身が危ないからな…
 とにかくだ、そのリストランテだったら
 問題ないだろう…」

何も知らなかったら、アリだったのかも知れない。
しかし、こんな情報知った上で働いたら
もうそれは…アウトなのではないかと。
試される人間性。

「いいのか?他の女の子に取られちまっても」

店長からにやけた視線が向けられる。
この言葉に私は…。


.
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ