護衛チーム短編夢
□gelosia incoscienteー無意識の嫉妬
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「gelosia incoscienteー無意識の嫉妬」
◆相手:ブチャラティ
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ブチャラティ :side
俺はいつも通り、カッフェを飲みながら仲間たちの話し声に耳を半分だけ傾けながら、報告書に目を通していた。
「すっごく楽しかったよねー。でもまさかミスタって賭け事が得意だなんて思わなかった」
ん?いつの時の話だ?
「名無しさんが運がなさすぎなだけじゃね?しかしよォーあん時の最後の大勝負は納得いかねぇーな、アバッキオのやつにまさか持ってかれるとは思わなかったぜ」
「だよね、まさか最後にアバッキオだったからびっくり。」
「あん時は、随分と儲けさせてもらったな。grazie、名無しさん」
普段口数が少ないが、上機嫌そうなアバッキオに驚きを隠せない。俺が知らない間に賭け事をして盛り上がっていたようだが…。いや、それは別に仲間内で賭け事をしてることは問題ないはずなんだが…。どう言う訳か落ち着かない。
「アバッキオ!あれだけ儲けさせたんだから、今度ケーキ買ってきて!」
名無しさんがアバッキオがいるソファーに移動して頼み込んでいる。
「あ?…っ悔しかったら、また勝って取り戻せばいいだろ?」
「もーアバッキオのケチ!そんくらい買ってきてもバチは当たらないと思うよ?」
そう言う名無しさんがアバッキオの肩をポコポコと叩き始めた。
「おいおい、そこ叩いても…ただのマッサージになるだけだぞ?…まぁ、落ち着けよ」
そう言って今度はアバッキオが名無しさんの頭をポンポンと叩く。俺はあまりにも距離が近い名無しさんとアバッキオに耐えられなくなり、大きな咳払いをする。
名無しさんとアバッキオが俺の方を見たので
「ケーキが欲しいなら…俺が昨日買ってきたやつは冷蔵庫の中だ」
名無しさんにケーキの在処を教えるとすぐに冷蔵庫をあけ確認する。
「え?嘘!ブチャラティ、いいの、これ?でも…ブチャラティのだよね。えーでも、悪いよ、奪いたくないし…」
「お前、なんでブチャラティには遠慮するのに俺たちには遠慮がねーんだよ」
ミスタが彼女にそう言うと…
「そんなの決まってる。ブチャラティの事、尊敬してるんだもん」
尊敬か…。
名無しさんから信頼されてると言うのは嬉しいんだが、一線置かれているのは確かなんだろうな。
現に一度もボディタッチなどされた覚えはない。
「尊敬してくれているのは嬉しい言葉なんだが…ケーキはどちらかと言うと食べてもらった方がありがたい。俺はどうも甘いものを食べる気分じゃなくてな…」
「そうなんだ!わかった!!ブチャラティが言うなら食べちゃう!だから皆、冷蔵庫に入ってるからって勝手に食べないでよね!あとで食べるんだから」
「名無しさんじゃないんだから誰も食わねーっつーの」
ナランチャは雑誌を読みながら言う。
「私だって、冷蔵庫にあるからって勝手に食べないって!もう、すぐみんな私を子ども扱いするよね」
ああ、怒ってる所も可愛らしいと思っていると…
ミスタが名無しさんに対して
「俺は、子ども扱いしてねぇーぜ!ほら、名無しさんだって大人なもんをちゃんと持ってるしな!」
そう言いながら、完全に目線は名無しさんの胸の膨らみを注視していた。これには俺も黙っていられなくなる。
「おい、ミスタ。…一週間、報告書作成担当だ」
「え、おいおい、なんで?俺」
「名無しさんにセクハラをしたペナルティだ」
「セクハラじゃねってば、違うって、大人な考えを持ってるって言いたかっただけで」
大人な考えを持ってるって言葉に目を輝かせはじめた名無しさんに俺はため息交じりにはっきりと言う。
「いいか、名無しさん。こいつは完全に名無しさんに対して立派なセクハラをしていた。自覚しないと危ない目にあうぞ」
「でも、仲間だから、そんな事にはならないんじゃないかな?」
「名無しさんは可愛いんだ。もう少し危険を自覚した方がいい。仲間だが、危険がないとは言えないからな」
「は、はい!ブチャラティ!!ちょっと買い出し行ってきまーす!」
元気よく返事をした名無しさんは、早々に部屋を後にした。そして名無しさんがいなくなった部屋で、俺はミスタを見て言う。
「名無しさんの胸を凝視していたが、おいお前覚悟はできてんだろうな?」
「ちょ、ちょっとストップ!!あれはなんと言うか目の行き所に困ってつい、そのフォローしようと思った結果であって…」
… … …
「ブチャラティってさ、名無しさんにめちゃくちゃ甘いよな」
ナランチャはフーゴに小声で言うと、
フーゴもフーゴでブチャラティとミスタのやり取りを眺めながら小声で切り返した。
「あれは、甘いんじゃなくて…男の嫉妬ですよ。自分がリーダーで名無しさんと距離が遠いから、距離の近いミスタに嫉妬してるんですよ」
「え、じゃあ、ブチャラティって名無しさんの事が好きなのか?」
「あれ?気づいてなかったんですか?てっきり気づいてないのは当の本人と名無しさんだけだって思ってましたけど…だって明らかにおかしいでしょ、仲間だからって危険がないとはって言い回し、自分がそう見てますって言ってるようなもんですよ…あれ」
「機嫌が急に悪くなったなって思う時あんだけどさ…思い返してみたら確かにフーゴの言う通りだ」
「あぁ、僕はブチャラティにこれから報告しないといけないことがあると言うのに、ミスタのバカがやらかすから…しばらく機嫌治らないでしょうね」
フーゴとナランチャは、何故か難を逃れてるアバッキオを眺めながらもブチャラティの機嫌が収まるのを待っていた。
《gelosia incoscienteー無意識の嫉妬》
…end
2019/08/01
【Request: 他のメンバーにヤキモチを焼く】