護衛チーム短編夢
□Sogno spaventosoー怖い夢
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「Sogno spaventosoー怖い夢」
◆相手:ジョルノ
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名無しさん:side
… …
… …
「僕と一緒に住みませんか?」
彼の言葉が嬉しくて…
私は何度もうなづいた。
「ジョルノ、あなたと一緒に住めるなんて、夢のよう」
私は嬉しさで思わずジョルノに飛びつくと、
彼は私を優しく抱き支えた後に私の髪を優しく撫でて
「僕も夢のようです」と甘い言葉を紡いだ。
そんな幸せな記憶が、つい先日の事のように思い出され、
私は長めの溜息をついた。
ジョルノがパッショーネ≠フボスになってから、
なかなか一緒の時間を過ごせていない気がする。
我侭ばかり言ってられないけれど、
それはそれで寂しい。
彼は組織のボスになってからは、
麻薬を殲滅する事に重きを置いている。
彼を動かす熱意の元は
彼の元上司であるブチャラティ≠ニいう人物の気持ちをどうしても汲みたいからだと彼から聞いて居た。
ジョルノがいるであろう仕事の書斎には、
こんな遅い時間だと言うのにまだ灯りが灯っている。
私は自分の寝室を抜け出して、
そっとジョルノの書斎の前まで来てノックする。
すると、扉の向こうから彼のスタンド
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム≠ェ顔を出して
びっくりして思わず手元のホットチョコレートをこぼしそうになるがなんとかバランスを取り戻し、ホっとため息をついた。
そんな事をしている内に扉が開かれ、少し仕事で疲れているのか目の下にやや隈が見える愛しの人が私の名前を呼ぶ。
「名無しさん…こんな夜中にどうしたんですか?」
「ジョルノ…邪魔しないから少し部屋にいていいかな?」
「ええ。勿論ですよ」
そして彼の好きなチョコレートを溶かした、ホットチョコレートを彼のテーブルに置いた。彼はgrazieと口に運ぶ。
「名無しさん…すみません。あなたと全然一緒の時間を過ごせてないですね」
「気にしないでいいよ、ジョルノ。最近、忙しそうにしてるからちょっとジョルノが心配。無理しすぎてないかなって」
「僕は大丈夫ですよ…もう少ししたら、ちゃんと決着が着くはずなんだ。だから、それまでは名無しさんには寂しい思いばかりさせてしまいますね」
「こうして、ジョルノと同じ空間に居られるだけで幸せだから…本借りるね」
私は彼の書斎の本に手を伸ばしソファーに腰掛け本を読む。
彼の筆を走らせる音と私のページをめくる音だけが夜の闇に響く。
… …
… …
私が目を醒ますと…
目の前の光景に口を手で覆った。
あまりの凄惨な様子に悲鳴すら飲み込む。
真っ赤な海の中に仰向けで倒れているのは…
ジョルノ。その背中には何発も撃たれた焼き焦げた跡がありそこからひっきりなし赤い液体が流れ続けている。
私は彼の元に無我夢中で駆け出し、
彼をひっくり返して顔を確認する。
「ジョルノ!!」
彼の目は見開かれているが、どこも見ていない。
「ヤダヤダ、ジョルノ!!」
泣き叫んだところで、
彼は戻っては来ない。
… …
「…! …!」
「名無しさん…。名無しさん!」
私を呼び戻す声は…
ジョルノ…?
ゆっくりと意識が鮮明になっていく…
瞼を開くとすぐにエメラルドの彼の瞳と視線が合う。
ひどく心配そうな彼は私を覗き込み抱きかかえて居る状態だった。
「ジョルノ…?」
「目が醒めたようですね。ひどく魘されて居ましたが、大丈夫ですか?」
彼の姿を見た瞬間、先ほど見た光景がフラッシュバックして怖くなり彼の服をギュッと握った。
「どうしたんですか?…名無しさん?」
「ごめんなさい…。ひぐ…。うう」
アレは悪い夢だったのだろう。
でもあの生ぬるい赤い液体を掻き分け彼の身体を寄せた時にあまりにもそれが生々しくて怖かった。
「えぐ…、うう。あなたが死んじゃう夢を見たの…。怖かった」
もう怖い夢で泣くような年齢ではないのに、
どうしても、涙が溢れて止まらなくて…。
「心配しないで名無しさん。僕は大丈夫ですから…。あなたを残して死んだりなんかしませんよ」
ジョルノが私の目元の涙をハンカチで拭いてくれる。
まだ、私は怖くて震えたままの手で彼を抱きしめると、ジョルノは私をお姫様抱っこで抱え寝室に移動した。
ゆっくりとベッドに私を下ろした後、彼も隣で横になり私の頭を撫でてくれる。
そして震える私の頬に手を添え、まっすぐこちらを見た後に
「僕は名無しさんのそばにずっと居ますよ」
そして唇を優しく重ねるジョルノ。
少しだけカサついた彼の唇に口づけをする。
「ん…、んふ。んん…」
甘い吐息が漏れる。
「安心できましたか?」
「ええ。ありがとう…ジョルノ。大好きよ」
「ええ、僕もです」
《Sogno spaventosoー怖い夢》
…end
2019/08/14
【Request: 同棲設定で怖い夢を見て夜中に起きてしまい怖さで泣いている彼女を慰める話】