護衛チーム短編夢

□Cane da guardiaー番犬
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「Cane da guardiaー番犬」

◆相手:ブチャラティ
_______________



名無しさん :side




最近のブチャラティさんは絶対におかしい。
一体どうしたと言うのだろう。

「ブチャラティさん…どうしたの?」

「いや…、なんでもない。気にしないでくれ」

彼はなんでもないと言うし、
気にしないでくれと言うが…
どう考えても気にしない方が無理だろう…。

最近アジトの私の部屋の前に…
特に夜、腕を組み仁王立ちで立ち尽くしている。

はじめ、何か用があって私を待っているのだと思った。
だけど待っている彼に声をかけても
特に気にしないでくれと言う返答しか返ってこない。

いやいや気にしない方が無理。

なんだか彼を廊下に立たせている
罰ゲームを私が行っているみたいに見えちゃう。
もしかして部屋に入れて欲しいと言う
無言の訴えなのではないのだろうか?

私は部屋の扉をそっと開けて、
ブチャラティさんを部屋に引き入れる。

「いや、部屋に入れて欲しくて待っていた訳じゃないんだ…。」

彼は困ったように言う。
じゃあ一体どう言う事なんだ。

「ブチャラティさん…正直に言っていいですか?」

「あぁ。なんでも言ってくれ」

「ブチャラティさんが部屋の前に待ち構えているの…だいぶ怖いです」

私の言葉にショックを受けたと言わんばかりの表情をした。そんな風に思われていただなんて知らなかったと顔も書いてあった。

言葉を失っている彼。

「目的も教えてくれないので、余計に、です」

と付け加える。
ピューーーーーーー
私はヤカンをかけっぱなしだったのを思い出し、
慌ててコンロの火を止める。


「すまなかった。名無しさんがそんな怖い思いをしていなんて…知らなかったんだ…。俺が部屋の前で立っていた理由なんだが、あいつらが名無しさんに夜這いを仕掛ける計画を練っていると言う話を聞いてな。阻止するためにいたんだ」

夜這い!?

そんな事するとは到底思えない。
あいつらって、ミスタとミスタとミスタ?
ミスタぐらいしか正直思いつかない。


「ブチャラティさん、流石にそんな事しないじゃないかなぁって。なんだかブチャラティさんらしくないですよ」

「…、あぁ…自分でも冷静な判断が出来ていないのは分かっているんだが…。万が一、名無しさんが襲われるような事があったらと思うと、つい…」

なるほど。ブチャラティさんはブチャラティさんでセコムしてくれくれていたのか。

「それに、絶対その話嘘ですよ。私、可愛くないし、襲うならみんな他の可愛い子ですって」

私が笑いながら言うと、
彼は怒ったように反論する。

「俺だったら名無しさんを襲いたいと思う。…だから、心配するのは当たり前だ」

… …


暫くの沈黙の後、
ブチャラティさんは気まずそうに

「今のは聞かなかった事にしてくれ…。とにかくだ。あんまり自分は安全だなんて思い込むのは危険だって言いたいんだ。」

そう簡単に聞き流せる言葉ではない。
私は目を輝かせブチャラティさんに詰め寄る。

「ブチャラティさんは私を襲いたいんですか??どうしてですか?」

私は茶化すように言ったが、
彼は私の腕をとってはっきりと言う。


「名無しさんの事が…どうしようも無いくらいに好きだからだ」

とても真っ直ぐな言葉と視線。
そんな彼に腰が砕けそうになった。




《Cane da guardiaー番犬》
…end
2019/04/21

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