護衛チーム短編夢

□estraneoー無関係
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「estraneoー無関係」

◆相手:ブチャラティ
_______________



名無しさん :side





私は彼に一目惚れをした。
それからと言うもの私は彼がギャングだと言う事実を知りながらも積極的に関わるようになった。
初めのうちは友人のような関係からスタートして、
その後…色々とあってから、
なんとか彼に想いを伝えた。

振られる事を覚悟していたけれど、
幸運な事に彼も付き合いたいと言ってくれたのだった。

そんな幸せの矢先_

衝撃の事実を私は彼の仲間から知らされる。

そう、

彼がしっかりしすぎていたのか、
それとも、私の精神年齢が幼さすぎたのか。



まさか、彼が私より歳下だったなんて。
それも、1つ2つ離れているとかそんな訳ではなく…いや、それ以上…

彼は長身で、年齢に似合わない大人の落ち着きを持っていた。それこそ、年齢を知っても嘘だと思ってしまう。
こんな20歳がいてたまるものですか、と。
そして、そんなしっかりしていた大人の余裕を感じさせる彼に惹かれてしまった私。

彼は、私のことどう思っているのだろうか。
年上だと知ったら、彼はどんな反応をするのだろうか。

隠して付き合うのは罪悪感を抱えるし、誕生日が来たら自ずと何歳になったのかと聞かれるに決まっている。
そこで発覚する気まずい空気を想像すると隠している訳にはいかない。

私はブチャラティさんをバールに誘った。


バールでは、オシャレで軽快な音楽が流れ…
辺りにはカッフェのいい匂いが漂っていた。

彼とのいつもの和やかな談笑をした後にタイミングを見計らう。だけど、どこで切り出すかなかなか決めかねる。
時間がゆっくりと流れているのに関わらず、緊張のせいで私はさっきから落ち着かない。
私はカップチーノを一口飲んで心を落ち着かせる。

言わなきゃ…

意を決して切り出そうとする。

「ブチャラティさん…」

「俺のことはブローノで良いと言っているだろう?」

そう低く色っぽい声で悪戯っぽく笑う彼は、
言われてみれば確かに20歳の青年らしさを
感じる。

「ブ、ブローノ。あのね…実は言っておかないといけない事があるのッ!!」

ブチャラティさん…じゃなかったブローノは首を傾げ心当たりがないといった様子だ。

あぁ、言い辛い。

「や、やっぱり…なんでもない」

なんと意気地なしなのだろうか。
私は目を伏せ、話題を変えようとする。

「名無しさん… 俺に隠し事は無しだぜ?」

そういう彼の鋭い視線にドキっとするが、
彼にこれ以上嘘をつき続けるのも人としての品性が問われる。ここは言うしかない。


「あ、あのね。私、実は…

ブローノより年上なの!!」

恐る恐る彼の表情を伺う。
彼は少し何か考えている表情。

あーー、別れを切り出されてしまっても
仕方がないのかも知れない。

「俺は…年上だとか、年下だろうが関係ないが…名無しさんは気にしたりするのか?」

そういう彼の目は真っ直ぐで。
関係ないと彼は言うけど、本当にそうだろうか…。

「それに、歳上は歳上でも一つ二つとかじゃないんだよ!驚かないの!?」

すると、彼はやや気まずそうな顔をして、

「名無しさんの年齢については、これは正直に言ってしまうんだが…知っていたんだ。だから、驚くという事もないんだ。
俺にとっては、名無しさんは名無しさんで年齢なんて関係なかったからな。
だが、名無しさんがそこまで気にするという事は…俺が年下だったらー嫌、なんだろうな…」

そういう彼の困ったような視線は
私の心にダイレクトに響いてくる。

ブローノがそう言ってくれた事が、
すごく、すごく嬉しい。

「ブローノが年下だからって嫌な訳ないよ!!ちょっと驚いただけッ…」

「名無しさん…、良かった。そう言ってくれて。俺はてっきり別れを切り出されたんじゃないかって…不安があったんだ。
だから、そうじゃなくて、良かった。
…だが!少し俺も名無しさんには不満がある」

彼はそう言って口をへの字に曲げる。

そう、年齢詐称した記憶はない。
それとも、歳上なのに関わらず彼に
子どもっぽく甘えてしまった事を怒っているのだろうか。

「えっと、年齢詐称した事を怒ってる??それとも年甲斐もなくブローノに甘えちゃったところが不満だったり??」

「違う!俺がそんな歳上、歳下を気にするような男じゃないって事をわかっていなかったのは正直怒りたい。…君が惚れた相手がそんな小さな男か?」

「ご、ごめんなさい。ブローノは違うよね!でも、私自身…自分自身が不安だったの…んッ」

唇に柔らかい感触。
一瞬何が起こったのか理解できなかったが、
ようやく頭が稼働する。
ブローノが私の顎を持ち上げ、
私に口づけしてるんだ。

「ん…ぁ…んん」

カッフェの香りを含んだ
深い口づけに頭がクラクラする。
私がすっかり腰を抜かしそうになっていると、
ブローノは私にニヤリとした余裕のある大人の笑みを浮かべ
一言言い放った。

「俺が…どれだけ愛してるか。わかってくれたか?年齢?そんなもん関係ないだろ。」



《estraneoー無関係》
…end
2019/03/08

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