ロー長編連載夢

□21シャボンディ諸島にて09
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……

………



俺はシャチを隣に従えさせて
シャボンディ諸島を歩いていた。

吸血屋の
情報を集めるといったが…

よくよく
考えてみりゃァ…
情報を集めるのは困難だった。

街に出てみりゃ
案の定…街は明日の火拳の処刑の話で
持ち切りだった。
マリージョアから逃げてきた避難民で
ごった返して歩きずれェ。

祈りを捧げてる奴もいりゃあ…
こんな朝っぱらから、酒を飲んで気を紛らわしている奴もいるな。

「船長〜どうするつもりなんッスか?」

突然、すぐ後ろを歩いていたシャチが疑問を投げかけて来た。

「…あァ?…何がだ?」

「そのBLOOD WOODっていう吸血鬼が船に入れちゃったら…っていう話ッス。
招かれないと入れないっていうのも胡散臭いっスからねー。
現に…半分吸血鬼のラミアは船の中に侵入しちゃってたじゃないッスか!」

それは俺も一度可能性として考えてあった。
全部が全部
あの本が正しいって訳じゃねェだろうからな…。

それでも、
可能性としては高いとみていた。

「確かにアイツは侵入出来ていたが、ラミアの話にもあったろ?
吸血屋は、わざわざ使いをよこさせた上、手紙でラミアをおびき寄せる形をとっていたからな…。
直接乗り込むには絶好だったはず、なのに…だ。」

「確かにめんどくさい事はしてるんスけど…どうも…信用できなくて。バリアが張ってあるんじゃねェのに…。」

「確かに理論的でもねェし…相当信用できるか、怪しいが…。
そもそも吸血鬼自体、説明つかない部分は多いんだ。そこは言ってたらキリがねェ」

「でも…俺はラミアの事が心配で心配で気が気じゃないっす」

「シャチ…お前、昨夜さんざん酔いつぶれてた口がよく言うな…。
仮に吸血屋が船に侵入が出来たとする。
だが、今は日が昇ってる。到底、来れるとは思えねェな」

「確かに…、ラミアを日光に晒した時は相当嫌がってたというか…ダメージがあり過ぎてたっていうか…。
確かに来れないっスよね。ふぅー安心できました。」

ついでに一言伝えておいた。

「それと、ラミアをペンギンに任せてある上、船の近くにはジャンバールも居る。何も問題ねェだろ…」

「え…じゃあ、今、ラミアはペンギンと二人っきりなんスかッ!?」

変に大きな声を近くに出され
耳がキーンとなった為、苛立つ。

すると、すいませんでしたっと謝った。

が、

すぐに興奮した調子で言葉を続けた。

「船長、それは不味いっスよ!!一番危ないんじゃないッスか!?」

…ピクッ

シャチの言葉が引っかかる。
危険は解除したつもりだ。

一番危ない選択をしたかのように
シャチは言ったが
そんなヘマをやらかした覚えはねェ。

一体、何が言いてェ…。

自分で何か抜けてないか
念入りに探ったものの、
見当たらねェ。

こいつに聞くのは癪だが、
実際にラミアの身に危険が及ぶとなると
洒落にはならねェ。

俺は仕方がなく、シャチに聞く事にした。

「チッ…。何が不味いって言うんだよ…。とっとと話せ」

「吸血鬼とは関係ない話なんスけど…。その…最近、ペンギンとラミアの仲が妙に良過ぎるじゃないっすか…」

「ペンギンにラミアを任せる事が多いからな。それが何だって言うんだよ…。仲がいいのは、問題ねェだろ」

「いや、普通に仲がいいっていう感じじゃないッスよ。クルー同士の感じだけじゃなくて…。」

苛立っていくのが自分でも分かった。
クルー同士の感じじゃなくて…

仲がいい…だと。



「何が言いてェ…」


「ひいぃ、船長青筋立てないで下さいよ。
今回の騒動で、ペンギンのやつ欲求不満を解消出来なかった訳じゃないっすか。
ラミアをモノにしようと、襲ったりなんかするんじゃないかなぁ〜って…」

ピキッ


「つまり、ペンギンがラミアを襲うって言いてェのか?」

あいつがラミアを襲うだと?
そんな事がある訳がねェ。

「あのムッツリスケベなら、やりかねないっスよ。ラミアを落とすなら、きっと今がチャンスだって思って…アイツ…、くっそ、俺があいつの立場だったら…」



「…くだらねェ…」


ハァ…。

なんだって言うんだ。

どうして、こんなに気にかかる?

クルー同士仲が良くなるのは
何も問題ねェだろ…。

ペンギンがラミアを襲うなんて
考えられねェ。

ただ、シャチが言った…

《その…最近、ペンギンとラミアの仲が妙に良過ぎるじゃないっすか…》

この言葉が妙に引っかかる。



「……」


らしくねェな。


「って、船長どこ行くんスか〜!?そっちは、さっき来た道じゃ…」

「少し野暮用があってな。適当に吸血屋の情報集めてこい」

「ちょ、そんな無茶っスよ」

「俺に従えねェのか?」

「いや、従いますけど…」


俺は来た道を行く。

ったく、自分は何をしてェんだ…。
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