ロー長編連載夢

□20シャボンディ諸島にて08
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……

……



泣き崩れてしまった私は…
そのまま“小瓶の事“を
誰にも話せず
自分の心の奥に
仕舞い込もうとした。

もう、

忘れようなんて…。

それなのに…気になって…
ついつい自分の引き出しを空け
小瓶を取り出してしまう。

タプンと揺れる青い綺麗な液体。

これが本物かどうか知らない方が
いいのかも知れない。

それを確かめなければ、
この小瓶の存在がバレても…
知ら無かったで済まれるのもかも知れない。

でも…それは…

卑怯だ…。

自分の罪を軽くしようとする
醜く浅ましい考えだ。

確かめる方法は分かる。
この船にいる間に
色々な人に
医療の基礎知識を
教わったから。

血を微量とって
顕微鏡でのぞいた後…
この薬を微量血を混ぜて…

再度、どうなっているか確認する。

きっと…これで本物かどうか判断できるはず…。


………

……

少し前の船長のやりとりを
思い出した。

「文献によると…吸血鬼は招いていない所には入る事が出来ねェらしい…俺が言いたい事は分かる…な」

「船を…出るな…って事ですか?」

「ああ。少なくともシャボンディ諸島に停泊している間はな…。俺は少し町で情報を集める。明日の昼には火拳の公開処刑がモニターに映し出される。その時以外はお前は船の上だ。船の上ではペンギンに任せる」

「はい…」

こうしたやりとりがあり…
船には私とペンギンさん、
あとは船番として二人ほどいるだけで…

船の中は、ほとんど藻抜けの空だった。

そして私は今、
医療器具が置いてある部屋に
こっそり忍び込んだ。

みんながいない内に…。

顕微鏡…医学書…あと…


「きゃぁああ」


完璧だった。
見つからずにやれるはずだったのに…。

盛大にこけて
叫んでしまうという
ミスをやらかさなければ…

そして…声を上げてしまったせいで

ペンギンさんに見つかってしまった。



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