ロー長編連載夢

□19シャボンディ諸島にて07
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目の前のラミアは、
静かに寝息をたてていた。

…寝たか?

そう思った時、
扉から一回ノック音が聞こえて来た。
俺が扉を開けると…

そこには、ペンギンが分厚い本を持って突っ立っていた。
寝ているラミアの姿を見ると、
声を潜め深刻そうに言った。

「船長…やっぱりここに居たんですね」

「なんだ…何かあったのか?」

「いえ、ちょっと船長に話したい事が…」

「…ここじゃ不味い話か?今夜は…この部屋を見張るつもりだ。動くつもりはねェ」

「そうだと思いました。ちょっと…不味いとだと思ったので、本と筆談できるものもってきたんですよ」

「筆談か…めんどくせェな…」

「そう言わずに…小声でしゃべっても聞こえちゃうかも知れませんので、ほら…」

ペンギンがちらりとラミアの方を向いた。
俺も振り返りあいつの方を見ると…

耳がわずかにピクンと動いていた。

「いつもなら、この時間起きてるもんな…。めんどくせェが…筆談で構わねェ」


ランプに照らされた
薄暗い部屋で筆談がはじまった。


……


カリカリ


本を開き、
ペンギンが指を指しながら
羊皮紙に文字を連ねていく


カリカリ

それに対して、俺も文字で答える。

夜の静寂の中で…
ただ、ページを捲るペラペラという音と
文字をカリカリと書き連ねる音のみが響く。


……

……

……

筆談が終わると、一度頷き、
ペンギンは静かに部屋を出て行った。


先ほどの筆談の内容が頭を回る。

ペンギンが持って来たのは、
クルーの部屋にあった
趣味の古いオカルト書物だった。
今回の件で、クルーの一人がこの本を思い出し
ペンギンに渡したとの事。

そこには、【吸血鬼】について幾つか
記されている事があった。

もちろん、まるっきり文献通りって訳じゃねェだろうが…

試してみる価値はありそうだった。

今でも目の前には【吸血鬼】の記述の所で本が開けて置いてある。


ーーーーーー
【吸血鬼】ヴァンパイア・ドラキュラ
人の血を吸う怪物の総称。

■特徴としてあげられもの
・高貴な雰囲気をもつ、プライドが高い。
・吸血の際は首筋に牙を突き立てる。
・血を吸われる相手は性的快楽がある。
・強力な暗示をかける事ができる。
・コウモリや霧に変身できる。
・夜での、嗅覚、聴覚、視覚が鋭くなる。
・鏡にうつらない。
・血を吸うと吸血鬼になるという話だが、様々な説がある。
・吸って相手を下僕にする事ができる。

諸説1
男吸血鬼は処女のみ吸血鬼に出来る
女吸血鬼は童貞のみ吸血鬼に出来る。

諸説2
首筋を噛んだ後、純血の吸血鬼が体内の血を注ぐ事によって…吸血鬼にする事ができる。純血の吸血鬼にする事はできない。

ーーーーーー

俺はあご髭を触りながら
考える。

目の前で霧状に消えたが…
悪魔の実のロギアみたいなものか…。

他にもいくつか確かめねェといけない事が出て来た。

暗示をかける事が出来るといのも
厄介だな。

ラミアは半分吸血鬼だが…
あいつも同じような事が出来るのか?

少なくとも、

半分吸血鬼と、本物の吸血鬼とでは
桁違いの能力は備えているのかも知れねェ。

吸血屋

厄介な敵を抱えている自覚はある。


それでも…


俺は、もう…

ラミアを手放すつもりは
無かった。


明後日に…いや、日付越えてたな。
明日に、“火拳“の処刑がある。
白ヒゲ海賊団が仲間の死を許す訳がねェから
時代の節目の戦争になる。
こっちも見届けねェといけねェが…。

それまでの間は…
ラミアとブラッドウッドの問題を
片付けねェとな…。

俺は次のページに目を通した。

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