ロー長編連載夢

□05潜水艦生活その1
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私は、どうしても腑に落ちず…
直接この際聞いてしまおうと思い声をかけた。

「どうしてみんな、平気なんですか?」

「あ?」

みんなが手を止めて注目する。そして、みんな首を傾げている。

確かに話になんの脈絡も無く唐突に浮かんだ疑問だったけど

みんな…その、あまりにも吸血鬼といった事に関して…気にしてなさ過ぎる気がした。

「その…食事するところ恐ろしくないですか?その…今の食事をまずくしちゃうかも知れないんですが…」

言って若干、後悔した。

食事の時にいう話じゃなかったな…
思いついたというか…


「いや…なんて言うか…もうさすがに一回見ればなれるからな」

「ああ、はじめは驚いたが、別に…そんな大した事じゃないしな…」

そう言いながら、みんなは再び…
何事もなかったように食べはじめた。

いやいや、慣れるものじゃないでしょうッ


「でも…人の首に噛み付いてすすって、飲むんですよ?」


私が更に主張すると…ペンギンさんが少し考える様に首をかしげた後…

「いや…よくよく考えれば…俺たちはもっと凄い光景を日常的に見ているからなぁ…」


そして、言われて…確かに納得する。
みんな優しくて忘れかけていたけど…
間違いなく彼らは海賊であった。

「海賊…ですもんね、戦闘では血をいっぱい見てる…って事ですよね」

「いや、確かに海賊ってのもあるんだが…それより…な」

「あぁ…その…戦闘中にバラバラになった人間をいっぱい日常的に見ているからな」

「え?…バラバラって!?」


え??いま、聞き間違いだろうか?

確かにバラバラ…だとか…

そんなおかしな言葉を耳にしたような…

念のために確認をとる。


「えっと…私の聞き間違いですよね、日常的にバラバラになった人間を見ているって聞こえたんですが??」

流石に戦闘で人がバラバラになる…なんて事は…
どんな修羅場を乗り越えて来たのだろうか…
でも…そんな…バラバラだなんて…


「混乱するのも無理ないかも…知れないが…うちの船長が、いつも敵をバラバラにするんだ…それで、その光景を日常的に見てる…から…な」

「そうそう!船長バラすの好きなんですよねー。敵であれば、女性にも容赦ねーし…」


そして、バラバラにしてきたのは船長とのこと…

え?


あの船長まさか…

快楽殺人鬼!?




え、バラバラするのが趣味の
とんでもない男なのか?

確かに、はじめてあった時、
殺されるって思ったし…

でも、あのカウンセリングは何だったんだろう。
すごく良い人そうに見えたのに…すごく落ち着けたのに…

まさか、快楽殺人鬼だったとは…

「こ、怖い…」

「まぁ、ラミアも今後その光景を目にするようになるからな…」

「ひぃいいい」


私の脳内には真っ赤な血の海の中で狂気に満ちた笑顔の船長。

そして転がる無数の無惨な身体達。

考えただけで恐ろしくて鳥肌になった。


「慣れるもんだぞ?」

「え、慣れるもんじゃッ…」

「あ、ラミア。もうそろそろ…時間きちゃうよー」

ベポさんがじっと時計を指差した。

時計をみると…

恒例の時間になっていた。

「あ、急がなきゃ…今の話で行く気が失せたんですが…」

「いや、行かない方が大変な事になると思うぞ」

「それこそ…船長にバラされるんじゃ?」

「ひぃいいい、行ってきますッ、ごちそうさまでした!!」


私は慌てて食事を終わらせて…
お皿をまとめた後、


船長室に向かった。



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