マルコ長編連載夢2

□22fairy tale〜クローストーリー〜
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「そろそろ、着くみたいだよぃ」

「やったぁ〜。ようやく親父様のお知り合いに会えるんだね!!」

雪は降っているし、寒いはずなのに
長い道のりを厚着で歩いてきたせいで
むしろ暑い位。

安心したのもつかの間。
私の服の中から凍えた声が響く・・・

にゃぁああお(そろそろ、温めてもらえないかのぅ)

あ!!!トゥリーが凍っちゃう!!

私は慌ててランプをエースのところにもっていって
炙ってもらう。

にゃぁおお(極楽じゃ、極楽じゃ)

かなりのお年寄りとはいえ、
本当におじいちゃんのような事を呟くトゥリー。

キョロロロロ(なんだか、ジジくさいわね)

にゃぁおおお(相変わらず、失礼なやつじゃなぁ)


エースはたまに焚き火のように火を起こした為、
みんなが周辺に集まってきていた。

「しかし、みんな俺にへっつきすぎだろ。俺を本当にカイロ扱いしてくるんだぜ?信じられねぇ」

って不満を零すもののまんざらでもない感じだった。




「ここだ」


親父様が言ったその場所は、森の中にぽつんとある
山荘だった。

森が巨大過ぎて小さな印象を受けるけれども、
結構大きな山荘がぽつんと森の開けた奥にある。

泊まるところなのだろうか?


「留守にしてなきゃいいが・・・」

親父様がノックをすると、

ゆっくり扉が開いた。

「おお、おお!!エドワード!!」

そこから飛びたしたのは、
少しでっぷりと肥え、白い髭を蓄えた大柄なおじいさんが親父様に抱きついた。

「久しいな!近くを通ったのでな。グラララ」

親父様が笑うと、エドワードさんは少し慌てた様子で

「ほら、みんな中に入った入った」

と急かし中に入れる。


中に入ると、ウッディな雰囲気だった。広いのに
中はとても暖かく、大きな暖炉の中の火が揺らめいていた。木を削った置物が多数置いてあったり。


しかし、こちらのおじいさんは
親父様と親しげな様子で知り合いには違いないけれど
私は、見た事もない人だった。

ん〜・・・知らない間に知り合いになってたのかなぁ・・・

それともマルコの思い過ごし?


親父様のお知り合いであるというおじいさんは、
みんなを椅子に座らせて、
ホットココアを振舞ってくれた。

ん〜甘くて暖かくて幸せ


「エドワード本当に久しぶりだな。会えて嬉しい」

そう親父様の近くに座りながら、
おじいさんは白い口髭を撫でた。
それにしても、立派な口髭だとチラチラっと
見てしまう。

「あぁ、クロース、お前さんが生きているうちにまた会いたいと思ってな。グラララ」

「ふん、よく言うわい。わしの方が長生きしそうじゃがな?ホーホッホホ」

「しかし、随分急かして中に入れてくれたが、どうしたっていうんだ?」

「エドワード。忘れたのか?この前来た時、お前さんの声で雪崩が起きて大変だったろ?」

「グラララそうだったな。あんな簡単に雪崩がおきちまうなんてェなグラララ」

「防音にしたかいがあったわい。声がでかいわ。ホーッホホホッ」

親父様とクロースさん?の会話を聞いていると
気になる。

ホーホッホホという笑い声。

どこかで耳にした事があるような・・・
聞き覚えのある笑い声に
記憶を一生懸命にたぐる。

雪国
でっぷりとした貫禄のある体型
白い口髭
そして、優しげな目線


あぁ!

シルエットが浮かぶ。


あぁあああ!!


私が思い当たる人はただ一人!!!

あの世界中で有名な

サンタクロース!???


本で読んだことがある。
確か、世界中の子ども達に
空飛ぶトナカイのソリにのって
おもちゃを届けるという


気がつけば口に出していた


「サンタさん?」

あ・・・


どうしよう。

親父様の会話に割り込む形になっちゃったかな。

自分では小さく呟いた言葉だったけれども
ちょうど会話の切れ目だったのか
聞こえてしまったらしい。

「会話わっちゃってすみません。」

親父様をちらりと見ると、
暖かい視線をくれ

「気にするな、グラララ」

優しい言葉にほっとする。

サンタさん?がこちらを見てにっこりと微笑んだ。


「懐かしい響きじゃ。ホーホホホ」

「えっと、あの本当に・・・」

「世間一般に知られているサンタクロースとは違うかも知れんが・・・」

「間違いなく、お前さんがサンタクロースに違いはねェだろ?グラララ」

するとサンタさんは、なんだか嬉しそうに親父様にお礼を言った。

「シャミアにお前の話を聞かせてやってくれねェか?」

「世界にある話とは違うから、がっかりさせるかも知れないが、それでも聞くかい?お嬢ちゃん」

「はい!!ぜひ、聞かせて欲しいです!!」


サンタさんはゆっくりと話してくれた。
どこか、過去を懐かしむように遠くを見た後
ゆっくりと話しをしてくれた。

暖炉を囲んで話を聞かせてもらった。


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